【ネタ記事】激闘! プ・リーグ開幕
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今年もこの季節がやってきた。正月といえば、プ・リーグ開幕の時期である。キッズ向けゲーム「くまの○―さんのホームランダービー」は子供向けとは思えぬ難易度を誇り、ことさら最終ボスのロビ○(憎しみを込めロビ○スと呼ばれている)は日本いや世界中の人々の正月を奪ってきた。「今年こそ正月を取り戻す」と意気込む男の名前はプー。世界最高峰の投手ロビ○スに丸太一本で挑む姿、ホームラン以外をよしとしないストイックな精神から人々は敬意をこめて彼をプニキと呼んでいる。
プニキは夏場から打倒ロビ○スに向け、調整を続けてきた。森の畜生…いや仲間たちと対戦することで技術を向上。キャンプインの際には禁止薬物ハチミツの使用を疑われたが、持ち前の強い精神力で困難を乗り越えた。50球中40球をホームランにするというノルマには無理があるのは明白であったが、プニキはすべてを受け入れた。たとえ、理不尽なルールであったとしてもそのルールで勝ってこそ真の勝利といえるのだから。
迎えた開幕戦。切り株で造られたピッチャーマウンドには宿敵ロビ○スが立っていた。投じた一球目はど真ん中の直球。「感触がなかった。右に引っ張る感じで打てた」と本人も満足の打球は右中間に飛び込む200m弾。練習の成果をいきなり結果で残した。しかし、飛距離が長かろうと短かろうと一本は一本、と余裕の表情を見せるロビカスはテンポの良い投球を続ける。その後は、多彩な変化球に連続三振を喫するなど苦戦を強いられた。開幕戦の結果は27本。40本には程遠い結果にプニキも苦虫を噛み潰したような表情を隠せない。その後も多彩な変化球や緩急のあるピッチングに翻弄させられ、思うような結果を残せないプニキ。刻々と迫るタイムリミットに焦りを感じながらも打席に立ち続ける。
13戦目、漂う閉塞感を一掃する転機が訪れる。ノルマのペース以上の成績で前半を折り返し、残り10球で7球をホームランにすれば勝利という場面を迎えた。プニキは勝利を確信した。いけるやん!その慢心がいけなかった。これが40の壁というやつだ。100エーカーの森の魔物に飲み込まれ、結果は39本で敗北。しかし、これを機にプニキの状態は上がった。勝利へのイメージが掴めたのだ。この戦い以降、安定して30本以上をスタンドに叩き込むプニキ。30本台後半を記録するのも珍しくなくなってきた。25戦目、再度チャンスが訪れる。残り10球で13戦目と同じく7球ホームランにすれば勝利という場面。前回の反省を生かし、気を引き締めて臨む。だが、今回はそれが裏目にでてしまった。極度の緊張からロビ○スの投じたチャンスボールを引っ張りすぎてファールにしてしまう始末。くしくも38本で涙を飲み、またも40の壁に阻まれた。
勝利に近づいている実感はあった。技術は十分にある。足りないのは精神力だけだ。34戦目、とうとう歓喜の瞬間が訪れる。残り10球で8球という場面。体力的にもこのチャンスでロビ○スを鎮めるしかない。絶対に勝つという強い気持ちを持ちながらも平常心を忘れずに戦い抜いた。勝利の一撃は魂のフルスイングで左中間に一直線。合計ホームラン数1122本、6時間を要した球史に残る大熱戦はこうして幕を閉じた。「ロビ○スから正月を取り戻した」と男は満面の笑み。自分の正月が犠牲になったことなどつゆ知らずに……。