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【一言居士】―2014年5月―身近な冒険

 釣りが趣味の祖父から聞いた話。昔は釣りの最中、魚がかからなく暇なときは釣り人たちと世間話に花を咲かせ、大物が釣れたときは一緒に喜びあったという。今では釣り人たちは目の前の海と、情報の海であるネットにばかり夢中だ▼携帯電話に始まり、現在はスマホの普及が著しい。バスや地下鉄の中で、仙台駅のステンドグラス前で、そこここにいる多くの人は手元ばかりを見ている▼いつでもどこでもネットサーフィンができるようになった今ではもはや当たり前の風景。彼らの世界は6×12‌cmの液晶画面に収まってしまっている▼つい画面に下がる視線を上げて、周りを観察すると何気ないことに気付くことがあるからおもしろい。ふと目に入った広告や店に興味を引かれることもあれば、バスの窓から見えた木々や花に何気ない四季の移り変わりを感じたり。いつもなら目もくれないものの発見がうれしい▼手元にあるネットという海は広く深い。航海してみたくもなるが、目の前の風景にも海では見られないものが潜んでいるかもしれない。身近な冒険もいいものである。
(文責:沼澤)
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