【新入生歓迎インタビュー】ノーベル賞受賞中村修二氏 ―大学時代の経験について語る―
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中村修二氏(カルフォルニア大学サンタバーバラ校教授)は日亜化学工業在籍時に実用的青色LEDを作り上げた成果が評価され、昨年度のノーベル物理学賞を受賞した。今回は中村氏に、大学時代の経験について伺った。
― 大学での最初の一年間はどのようなものでしたか
高校の時から数学や物理が好きで、高校の先生には大学に入ったら好きな勉強が思いっきり出来ると言われていたので工学部電子工学科に行ったんです。ところが大学の1年2年では教養の授業ということで英語やドイツ語などもやらなくてはいけませんでした。大学に入ってから2週間ほどで一通りの授業を受けるんですが、そのくらいから大学がつまらなくなって、大学には行かずに下宿に閉じこもるようになりました。仙人生活の始まりですよ。下宿では最初、数学や物理の本を読んでいたんですが、哲学の本も読み始めました。こんな生活を6か月程続けてると自分でも色んなことを考えて、今まで自分は親だとか先生だとか他人に言われてやってきた、これからは自分で考えて行動しなくちゃいけないと、自我に目覚めたわけです。この時の経験が今の自分の基礎になってると思いますね。
― 前期のテストや単位は大丈夫だったんでしょうか
前期の試験は全部落ちまして再受講ですよ(笑)。親からはこのままだと落第だどうするんだ、と電話がありまして、自分は「大学が面白くないから落第する」と言ったんですが、親がどうしても卒業だけはしてくれと言うもんですから、私も悪い気がして、それからは適当に勉強をし始めましたよ。
―大学で楽しかったことや打ち込んでいたことはありますか
中学・高校まではバレー部に打ち込んでいたんですが、その反動で大学ではサークルや部活動には参加しませんでした。ただ、大学4年の頃に卒業研究が始まったんですが、研究が面白かったんですよ。3年の時に受けた固体物性の講義が面白くて、理論に惹かれたので研究室に入ってみたら研究自体も面白かったんです。研究のプロセスが特に気に入りました。昔から自分なりに結果を理路整然と説明するのが好きだったからですかね。研究を続けたかったので修士課程まで行きました。
― 高校までの経験で役に立ったことはありますか
高校までのバレー部の経験ですね。私のチームは弱小チームでしたが、練習だけはどこにも負けないくらいやったんです。ただ、ちっとも勝てませんでした。でもこれが逆に「どんなに苦労したことでも実にならないこともある」という経験になって、失敗を恐れない自信に繋がったと思っています。
― 東北大生に対して何か一言
東北大学は都会から離れて勉強・研究に集中できる静かなところです。東京などの都心部はノイズが多くて集中出来ませんよ。研究に励んでください。大学の周りに東北大OB・OGの立ち上げたベンチャー企業が出来るといいですね。研究・発明で挙げた成果でベンチャーを作る、そういった希望を持った大学生活を送って欲しいです。