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【働くこととは】毎日新聞仙台支局記者 山内真弓さん ~母親の経験 記事に生かす~

 第12回となる特集「働くこととは」。今回は毎日新聞仙台支局記者の山内真弓さんに話を伺った。


―現在の仕事内容について
 私は2007年に毎日新聞社に入社し、茨城のつくば支局などを経て昨年4月に仙台支局に着任しました。現在は記者として、仙台市の市政や被災地などを中心に取材を行っています。それらに加え、妊娠後のライフワークとしている「仕事と女性」や、「子育て」をテーマに連載もしています。

―山内さんにとって、記者という仕事とは
 テレビなど他のメディアと違って、新聞記者は基本的に一人で取材を行います。一対一で、取材相手の本音を引き出していくというのは大きな魅力です。
 記者というのは、声を上げることの出来ない人、伝えたいことがあるけれど伝える手段のない人の思いを、記事で代弁することが出来る仕事だと思っています。困っている当事者はその困っていること、理不尽さをどう表現していいかわからない。そんな思いを記者としてすくい上げて、世の中を少しでも良い方向に持っていけたら、そしてそれだけの力を新聞というメディアはまだ持っていると考えています。自分が子供を産んで働く母親になってからは、特にそんな気持ちが強くなったように思います。

―これまでで印象に残っている取材は
 つくば支局で勤めていた時に出会った、一人の女性会社員の方への取材です。彼女には二人の子供がおり、上の子の小学校入学を控えていました。しかし、小学生を預かる学童保育は午後6時まで。このままでは子どものお迎えに間に合わない、と非常に困っていたのです。
 この取材をしたときは、ちょうど私も育児休暇から職場復帰したばかり。夫は単身赴任のため母子家庭状態、子供を抱えながら悩みは尽きませんでした。そんな私にとって彼女の抱えている悩みは他人ごととは思えず、記事して地域面に掲載しました。
 すると、その記事が彼女の上司の目に留まった。そして会社の規定でフレックスタイム制が導入されることになったのです。彼女からも、希望が持てたという喜びのメールをいただきました。
 小さなことですが、私の記事で少しでも世の中が良くなったのかな、と感じられた出来事でした。本当にうれしかったです。




―子育てと仕事の両立について
 現在、幼稚園に通っている4歳の娘がいます。夕方娘を迎えに行った後も、家事を進めながら原稿のチェックを進めるなどしています。早朝出勤の時は夫が娘を幼稚園に連れて行くなどして、二人で乗り切っていますね。
 どうしても仕事が終わらなければ、支局へ子供を連れてくることもあります。支局のメンバーには子供のことを理解してもらっていて本当に感謝しています。ただ、報道の仕事は世の中の動きと連動しているので、どうしても自分ではコントロールしきれない部分があります。子育てとの両立は今も手探りです。
 実は出産前、子供が生まれたら夜間保育の充実した認可外の保育施設に預けて、自分は朝から夜遅くまで働こう、と思うこともあったんです。それが、記者のあるべき姿だと思っていたのです。でも、いざ子供が生まれて母親になってみると、やっぱり子供はかわいくて一緒にいる時間も大切にしたい。そうでなければ母親になった意味がないと実感し、働き方を見直すようになりました。そんな自分の経験も踏まえて、母親としての取材を行っていくことが記者としての自分の役割なのかな、と今では思っています。

―大学生へのメッセージ
 大学時代の友人とは、同じ価値観を共有しながらお互いに相談できるので心強いですね。大事にしてください。
 今は全く想像していないと思いますが、就職や結婚、出産など、人生には様々な分かれ道があります。どの道を選ぶか、選んだ後のことを考えながらも、それぞれの選択に責任と自信を持って進んで行ってほしいと思います。

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