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【研究成果】ゲノムの常識を覆す ~リボソームRNA遺伝子が染色体上にない細胞を発見~

 生命科学研究科の按田瑞恵博士、南澤究教授らの微生物研究グループは、環境細菌オーレイモナスのリボソームRNA遺伝子が、染色体ではなくプラスミド上に位置していることを明らかにした。リボソームRNAは全生物のタンパク質合成を直接担う成分である。そのような必須成分は、安定的に子孫に伝えられる染色体上に存在するのが当然と信じられていた。




 RNAの正式名称はリボ核酸で、主な役割はDNAから塩基情報を写し取りリボソーム上でタンパク質を合成すること。プラスミドは一部の細菌が染色体と別に保持するDNAであり、増殖には必要ない。

 今回教授らは、生命科学研究科の野外湛水実験施設で栽培したダイズから分離培養した細菌オーレイモナスAU20のゲノムを調べ、一つの染色体と八つのプラスミドを確認。このときリボソームRNA遺伝子が染色体上でなく最も小さいプラスミドに位置していることを発見した。このプラスミドはほぼリボソームRNAのみで構成されており、細胞分裂のとき娘細胞に確率的に分配されると推定された。細胞分裂時には染色体は娘細胞に正確に分配されるため、このプラスミドは明らかに染色体とは異なる。大きさは9393塩基で、染色体(3742793塩基)の約398分の1。

 プラスミドにリボソームRNA遺伝子が存在する理由としては、何らかの生存に有利な局面があったためではないかと推測しているという。「植物の体内環境に適応する戦略なのではないかと考え、研究を進めています」と南澤教授は話す。

 従来リボソームRNA遺伝子は染色体上にあるのが当然と信じられてきた。今回の発見は遺伝子機能の調節や自然界での生物間の遺伝子交換に関する今後の研究に新たな視点を与えるものといえる。また、本成果はこれまでの常識を覆す歴史的発見であり、それだけにネットなどでの反響も大きかったという。「環境から分離した微生物を使うと、今後も面白いことがたくさん出てくると思います」と南澤教授は語った。
研究成果 1187893773952709504
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