硝酸センサー「スヌーピー」法 考案 ~生命科学研究所とタッグ組む~
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農学系研究科分子酵素学分野の内田隆史(たかふみ)教授らの研究グループは、硝酸・亜硝酸イオンを生体内でイメージング(*)できる「スヌーピー(sNOOOpy)」法を開発した。
細胞内の硝酸・亜硝酸イオン量は一酸化窒素量とほぼ相関しており、硝酸・亜硝酸イオン量を測定することは一酸化窒素量を測定することとほぼ同義になる。一酸化窒素は血管拡張作用や細胞間の情報伝達など、生体内で重要な働きを担っている。これまで、生体内でのリア
ルタイムの一酸化窒素量観測は不可能であった。それを可能にしたのが今回のスヌーピー法である。
大豆と共生する根粒菌内には、硝酸・亜硝酸イオンのセンサーであるNasSというタンパク質が存在する。NasSは通常NasTというタンパク質と結合している。しかし菌に硝酸・亜硝酸イオンが取り込まれると、硝酸・亜硝酸イオンがNasSに結合し、それによりNasSとNasTの相互作用が弱まり、両者は解離する。本手法では、NasS、NasTをそれぞれ異なる蛍光色素で標識し、YFP‐NasS(黄色)とCFP‐NasT(青色)を作成。両者が近接して強い相互作用をしているときには、440nmの波長の光を当てるとCFPが発光し、それがYFPを発光させる(蛍光共鳴エネルギー移動:FRET)。このFRETを定量することにより、生きた細胞内での硝酸・亜硝酸量の測定が可能となった。本手法は豆と共生する微生物・根粒菌のシステムを利用しているため、漫画「ピーナッツ」のキャラクターにあやかり、スヌーピーと命名された。
細胞内での一酸化窒素量を測定できることは医学的・農学的に大きな意義をもつ。本研究の成果は生物現象の解明だけでなく、新薬開発にも有用となる。また、一酸化窒素は植物にとっても必須の成分であるため、農業への貢献も期待される。
本研究は、生命科学研究科の南澤究教授らと共同で行われた。内田教授は「異分野の教授と共同で研究することで、新しい発見がもたらされます。そういうことをこれからもやっていきたいです」と語った。
(*)試料の情報を測定し画像化・視覚化すること。
細胞内の硝酸・亜硝酸イオン量は一酸化窒素量とほぼ相関しており、硝酸・亜硝酸イオン量を測定することは一酸化窒素量を測定することとほぼ同義になる。一酸化窒素は血管拡張作用や細胞間の情報伝達など、生体内で重要な働きを担っている。これまで、生体内でのリア
大豆と共生する根粒菌内には、硝酸・亜硝酸イオンのセンサーであるNasSというタンパク質が存在する。NasSは通常NasTというタンパク質と結合している。しかし菌に硝酸・亜硝酸イオンが取り込まれると、硝酸・亜硝酸イオンがNasSに結合し、それによりNasSとNasTの相互作用が弱まり、両者は解離する。本手法では、NasS、NasTをそれぞれ異なる蛍光色素で標識し、YFP‐NasS(黄色)とCFP‐NasT(青色)を作成。両者が近接して強い相互作用をしているときには、440nmの波長の光を当てるとCFPが発光し、それがYFPを発光させる(蛍光共鳴エネルギー移動:FRET)。このFRETを定量することにより、生きた細胞内での硝酸・亜硝酸量の測定が可能となった。本手法は豆と共生する微生物・根粒菌のシステムを利用しているため、漫画「ピーナッツ」のキャラクターにあやかり、スヌーピーと命名された。
細胞内での一酸化窒素量を測定できることは医学的・農学的に大きな意義をもつ。本研究の成果は生物現象の解明だけでなく、新薬開発にも有用となる。また、一酸化窒素は植物にとっても必須の成分であるため、農業への貢献も期待される。
本研究は、生命科学研究科の南澤究教授らと共同で行われた。内田教授は「異分野の教授と共同で研究することで、新しい発見がもたらされます。そういうことをこれからもやっていきたいです」と語った。
(*)試料の情報を測定し画像化・視覚化すること。