【研究成果】新分子「Sherpa」発見 ―ヒト免疫研究への応用へ―
https://ton-press.blogspot.com/2016/02/sherpa.html
薬学研究科の倉田祥一郎教授らの研究グループは、ショウジョウバエの自然免疫応答を発動する新分子「Sherpa (シェルパ)」を発見した。この発見により、ヒトの免疫機構の解明や免疫機構を制御する新薬の開発が期待される。
ヒトやショウジョウバエを含むすべての多細胞生物は微生物などの病原体から身を守る自然免疫という機能を持つ。今回の研究ではヒトに比べて単純な免疫機構をもつショウジョウバエを研究対象とした。
ショウジョウバエは細胞膜上に病原体を認識するToll受容体を持つ。病原体を認識すると細胞内のToll経路が活性化し、自然免疫を発動する。自然免疫は発動すると、病原体を排除する物質を生成する。
しかし、これまでToll受容体から免疫機構に指令を伝える過程の仕組みは解明されていなかった。そのため、この研究では実験に用いる細胞を従来の研究よりもToll経路の活性化を起こしやすいものに変えた。この変化がToll経路内を活性化させる分子「Sherpa」の発見につながった。「Sherpa」はToll受容体からの指令を伝えるタンパク質の性質を変化させる。この変化によりタンパク質は細胞膜へ移動し、Toll経路は活性化する。このような自然免疫の仕組みはヒトにも共通していると考えられる。
自然免疫の仕組みを解明することは新薬の開発につながる。薬には病原体を直接攻撃するだけではなく体内の免疫機構を制御することを目的とするものもある。免疫は働かない場合と、働きすぎの場合それぞれに危険があるからだ。免疫機構を制御する薬の例としてはエイズ患者へ投与する免疫促進剤やリウマチ患者へ投与する免疫抑制剤が挙げられる。
ウイルスや菌などが体内で増殖することで引き起こされる感染症は人類の主な死因の一つである。感染症ごとの病態ではなく感染症に対する一般的な免疫の働きを解明することも感染症に対応する手段になる。今回の発見はショウジョウバエの自然免疫の仕組みの一部についてであった。この仕組みの全体を解明し、ヒトにも当てはまるか、そしてそれをどう制御できるかを発見することで新薬の開発が可能になる。
今後の研究の展開について、「ショウジョウバエの自然免疫の仕組みをより深く解明することが次の研究課題です。原理を応用に発展させたいと考えています。今回の発見はまだ研究の入口に過ぎません」と倉田教授は語った。
ヒトやショウジョウバエを含むすべての多細胞生物は微生物などの病原体から身を守る自然免疫という機能を持つ。今回の研究ではヒトに比べて単純な免疫機構をもつショウジョウバエを研究対象とした。
ショウジョウバエは細胞膜上に病原体を認識するToll受容体を持つ。病原体を認識すると細胞内のToll経路が活性化し、自然免疫を発動する。自然免疫は発動すると、病原体を排除する物質を生成する。
しかし、これまでToll受容体から免疫機構に指令を伝える過程の仕組みは解明されていなかった。そのため、この研究では実験に用いる細胞を従来の研究よりもToll経路の活性化を起こしやすいものに変えた。この変化がToll経路内を活性化させる分子「Sherpa」の発見につながった。「Sherpa」はToll受容体からの指令を伝えるタンパク質の性質を変化させる。この変化によりタンパク質は細胞膜へ移動し、Toll経路は活性化する。このような自然免疫の仕組みはヒトにも共通していると考えられる。
自然免疫の仕組みを解明することは新薬の開発につながる。薬には病原体を直接攻撃するだけではなく体内の免疫機構を制御することを目的とするものもある。免疫は働かない場合と、働きすぎの場合それぞれに危険があるからだ。免疫機構を制御する薬の例としてはエイズ患者へ投与する免疫促進剤やリウマチ患者へ投与する免疫抑制剤が挙げられる。
ウイルスや菌などが体内で増殖することで引き起こされる感染症は人類の主な死因の一つである。感染症ごとの病態ではなく感染症に対する一般的な免疫の働きを解明することも感染症に対応する手段になる。今回の発見はショウジョウバエの自然免疫の仕組みの一部についてであった。この仕組みの全体を解明し、ヒトにも当てはまるか、そしてそれをどう制御できるかを発見することで新薬の開発が可能になる。
今後の研究の展開について、「ショウジョウバエの自然免疫の仕組みをより深く解明することが次の研究課題です。原理を応用に発展させたいと考えています。今回の発見はまだ研究の入口に過ぎません」と倉田教授は語った。