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【観劇評】「トートラインがゆるんだら」 コメディアス

 舞台は地球から遠く離れた星。ある地域に定住する人々が催す祭りの前日、ロープを使ってやぐらを建てる練習のために商店街の人々が集まった。




 「え、ちょっと待って」さっそく作業にとりかかろうとしたが、木材はバラバラ、ロープはぐちゃぐちゃで作業は遅れるばかり。無事日没までに終了するのか? 東北大学演劇部から派生した劇団、コメディアスが脚本から手がけたオリジナルの第2回公演。

 1時間30分、場面転換のないコメディと聞くと、いささか長いと感じる人も多いだろう。しかしこの舞台はメリハリがありまったく飽きを感じさせない。やぐらを組み上げるように、時間を追うごとに面白みが深まっていく。

 物語のカギを握るのは、文具屋の武田が木材を測るためにカバンから出した懐かしのパズル付き定規。大学院生の後藤と電気屋の里井は作業そっちのけでパズルに夢中になる。作業が終わってからにしろと注意する地域振興課の役人、田村からあの手この手でパズルを隠す2人に、田村はついに激怒。「作業の前にパズル出してください。パズルマンはお前か!」

 パズルを隠し持つ人を指す「パズルマン」という表現の絶妙さ、いつのまにか田村が一番パズルに固執しているという構図の転換は秀逸だ。気付かないうちにその世界観に引き込まれてしまう。

 ゆるりとした奔放な会話の中で、着実に次なる笑いへの布石が打たれていく。日常に根ざした笑いをすくいあげて目の前に提示され、自然と笑みがこぼれる。筆者のような素人も肩ひじを張ることなく楽しめる点に、コメディアスの確かな力を保証したい。
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