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【研究成果】新鉱物「ルービナイト」発見 ~太陽系の歴史解明に期待~

 理学研究科地学専攻博士前期課程2年吉崎昂さんはコンドライト隕石中から新たな鉱物「ルービナイト」を発見した。この鉱物は、太陽系形成直後に形成されたと推測され、太陽系形成の進化過程を解明するための手がかりの一つになるのではないかと期待されている。






 太陽系形成最初期に、太陽近傍のガス濃度の高い領域である原始太陽系星雲から凝縮して、形成されたカルシウムやアルミニウム等の昇華しにくい元素を多く含む固体物質を難揮発性包有物と呼ぶ。この物質は融解などの物質変化を経験していないため、現存する太陽系の物質の中では最古であると考えられている。

 ルービナイトは難揮発性包有物中から発見されたため、分析することで、太陽系誕生直後の星雲ガスの温度、圧力や酸化還元状態などを知ることができる。難揮発性物質に含まれるさまざまな鉱物からそれらの情報を集め、理論計算や他の太陽系の観測結果と結びつけて考えることで、太陽系が生まれてから現在に至るまでの過程が分かるのではないかと期待されている。

 もともと別の隕石を調べていた吉崎さんだが、研究が上手くいかず行き詰ってしまう。隕石を観察するのが好きな吉崎さんは、気分転換をするために他の隕石を電子顕微鏡で観察していたところ、これまで見たことのない鉱物を発見し興味を持った。いくら文献を調べてみても現存する鉱物と化学組成が一致しなかったため、カリフォルニア工科大学の鉱物学者マー博士に分析結果を送ったところ、新鉱物である可能性が高いことが明らかとなった。

 マー博士と共にさらに詳しい分析を行い、その結果をもとに国際鉱物学連合に申請し、正式に新鉱物として認められた。この新鉱物は隕石鉱物学の権威であるカリフォルニア大学ロサンゼルス校のルービン博士にちなんで、「ルービナイト」と命名された。

 吉崎さんは今回の発見に関して、「まだ誰にも知られていないようなことはその辺に転がっていて、気付くかどうかはその人次第。ふとしたことを疑問に思えるか、知識はあるか、自分の知っていることと知らないことを区別できているか、興味を持って調べいるか次第で、身近にあるラッキーに気付くことができる」と、自身の考えを述べた。

 さらに、ルービナイトを発見したことで吉崎さんは世界トップクラスの研究者と議論をしたり、協力して研究をしたりする機会が増えたという。初めは漠然とした理由で研究者を目指していた吉崎さんであったが、そのような研究者と話をするうちに、彼らも知らないことが多くあることを知り、自分がそれを解き明かしたいと意識するようになった。吉崎さんは、「太陽系が生まれてから現在に至るまで、どのような過程をたどったのかを知りたい。特に、地球がどのような物質によって形成されたのかを調べていきたい」と、今後の目標を語った。
研究成果 1700581595340174846
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