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【新入生向け2018・特別インタビュー】本学OB作家 白井智之さん ~大学では自分の好きなことを~

 本学OBで作家の白井智之さんは2014年、第34回横溝正史ミステリ大賞の最終候補作に選ばれた『人間の顔は食べづらい』でデビューした。今年1月には最新作『少女を殺す100の方法』を発表した白井さんに話を伺った。




―大学時代について

 学部は法学部です。人と話すのが苦手だったので、ゼミには入らず、座学ばかり受けていました。文学部や経済学部の授業もたくさん履修しました。何を教わったかは覚えていませんが、とても面白かった記憶があります。大学で学んだことはあまり身についていませんが、分からないことがあった時の調べ方を学べたのは大きかったと思います。

 サークルはSF・推理小説研究会に所属していました。週に1回、1冊の本について話し合う部会を開いていました。自由な雰囲気がとても合っていて、居心地が良かったです。作家になりたくて、ずっと小説を書いていましたが、周囲には話していませんでした。

―東北大と仙台の印象は

 東北大はカレーがおいしいです。在学中だけでなく、仕事で仙台にいた時もよく学食にカレーを食べにいきました。あと、チャラチャラした人が苦手なので、そういう学生が少ないのはよいですね。

 仙台は住みやすくて好きです。学生時代は川内に住んでいました。川内は大学がすぐで、スーパーも近くにあったので、街中へ出ずに生活ができます。引きこもりの自分には最適でした。老後にまた仙台に住みたいです。

―作家になった経緯は

 小中学生の頃からミステリが好きで、自分でも書いてみたいと思い、よく物語を書いていました。高校生の時、Z会でショートショートを募集する企画があって、応募したところ、採用されて1万円をもらいました。とてもうれしくて、ミステリの新人賞にも応募するようになりました。

 大学在学中も賞に応募し続けましたが、受賞はできませんでした。しかし、社会人1年目の時、『人間の顔は食べづらい』を審査員の有栖川有栖先生と道尾秀介先生に推薦して頂き、デビューすることができました。

―作家になってよかったことは

 ミステリ小説のファンだったので、作家になれたこと自体がうれしいです。兼業作家なので執筆時間を作るのは大変ですが、作品を書くのは楽しいです。自分の書きたいものを書いて作家として活動できているので、幸せだと思います。

 また、自分は何かの賞を受賞してデビューした訳ではありません。そのため、昨年第17回本格ミステリ大賞の最終候補作に『おやすみ人面瘡』が入った時は、このような形で評価して頂けて、とてもうれしかったです。

 作家になってよかったことは他にもたくさんあります。今回、母校の報道部に取材されてうれしいです。

―好きな本や作家は

 横溝正史が好きです。探偵小説は欧米で生まれたジャンルなのですが、横溝正史は日本的な文化や慣習と合わせて、高い完成度のミステリ小説を書いた作家です。

 あとは綾辻行人や法月綸太郎などの新本格ミステリと呼ばれる作品や、三津田信三や飴村行などのホラーとミステリを融合した作品が好きでした。大学に入ってからは、サークルの先輩の勧めで、雑誌『幻影城』でデビューした泡坂妻夫や連城三紀彦などの作家を読むようになりました。

―作品のアイデアの出し方は

 ケースバイケースですが、どんな小説にしたいか、どんなトリックやロジックを使いたいかを頭の中で膨らませてから、面白くするための設定を考えていきます。史実や現実の出来事を元にして作品を作ることはありませんが、より面白くしたり、アイデアを固めたりするために、実際の出来事やニュースをストックし、それを組み合わせることもあります。

―新入生にメッセージを

 大学にはさまざまな人がいます。他人のやっていることにあれこれと口出ししてくる人もいます。高校生までは周りの雰囲気に合わせないといけないことも多いと思いますが、それだけの生活ではあまり楽しくありません。自分の好きなことをやるのが一番だと思います。
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