【研究成果】蚊の吸血法を解明 ~マイクロポンプ作成に期待~
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本学工学研究科菊地謙次准教授と米国バージニア工科大学教授らによる共同研究グループは、蚊が餌となる液体を飲み込む際、二つのポンプを使い、「ゴクゴク」と「ゴックン」という2種類の飲み方を行っていることを発見した。今回の発見は、マイクロチップにバイオ研究の持つ役割を集約させる、「Lab on a chip」という領域において不可欠となる、マイクロポンプの作成に応用できると期待される。
蚊は私たちの日常にいるだけでなく、マラリアのような疫病を媒介する生物としても知られている。従来の蚊についての研究は、どのように子孫を残すかといった生物学的側面によるものがほとんどであり、工学的側面からの研究は乏しかった。
蚊について菊地准教授が研究を始めたのは、学部4年生。一般に嫌われものとされている蚊をあえて研究することで、世間の役に立つものができないかと考えたことがきっかけだ。
蚊の吸血のメカニズムは、人間の肌に、髪の毛ほどの細さの針を刺し、自らの体重と同量の液体を2分以上かけて吸う、というもの。蚊が標的に針を刺し、液体を飲み込んでいることは分かっていても、自分の体重ほどもある膨大な量を吸っている仕組みは、これまで明らかにされていなかった。また蚊の頭部に、大きさの異なる連結した二つのポンプがあることも分かっていたが、それがどのように使用されているのかも解明されていなかった。
菊地准教授らの研究グループは、高い分解能を持つ全身線であるシンクロトロン放射光を利用する事で、全身線位相コントラスト顕微鏡を構築。次に、全身線の吸収率の高いヨウ素を蚊に摂取させた後、頭部を透視し観察を行った。
その結果、蚊は液体を体内に取り込む際、頭部の大小のポンプを交互に動かしていることが判明した。更に観察を続けると、交互に動かすだけではなく、両方のポンプを同時に広げる動きのパターンも存在していることが分かった。特に後者は、粘性が高くスムーズに飲み込むことのできない液体に用いられていた。
この研究によって、蚊は普段はポンプを交互に動かして、「ゴクゴク」と餌を飲み込んでいるが、それが難しい場合は両方のポンプを同時に広げて、「ゴックン」と強力に飲み込んでいるということが分かった。蚊はこの2種類の飲み方を巧みに使い分けることによって、自分の体重ほどの劇的な量の餌を飲み込むことを可能にしていることを理論解析により明らかにした。
マイクロポンプといった、マイクロスケールの流体駆動デバイスの作成は、現段階ではまだ実用化に至るレベルにはなっていない。「夢のような話に貢献できる大発見だ」と菊地准教授は語った。
蚊は私たちの日常にいるだけでなく、マラリアのような疫病を媒介する生物としても知られている。従来の蚊についての研究は、どのように子孫を残すかといった生物学的側面によるものがほとんどであり、工学的側面からの研究は乏しかった。
蚊について菊地准教授が研究を始めたのは、学部4年生。一般に嫌われものとされている蚊をあえて研究することで、世間の役に立つものができないかと考えたことがきっかけだ。
蚊の吸血のメカニズムは、人間の肌に、髪の毛ほどの細さの針を刺し、自らの体重と同量の液体を2分以上かけて吸う、というもの。蚊が標的に針を刺し、液体を飲み込んでいることは分かっていても、自分の体重ほどもある膨大な量を吸っている仕組みは、これまで明らかにされていなかった。また蚊の頭部に、大きさの異なる連結した二つのポンプがあることも分かっていたが、それがどのように使用されているのかも解明されていなかった。
菊地准教授らの研究グループは、高い分解能を持つ全身線であるシンクロトロン放射光を利用する事で、全身線位相コントラスト顕微鏡を構築。次に、全身線の吸収率の高いヨウ素を蚊に摂取させた後、頭部を透視し観察を行った。
その結果、蚊は液体を体内に取り込む際、頭部の大小のポンプを交互に動かしていることが判明した。更に観察を続けると、交互に動かすだけではなく、両方のポンプを同時に広げる動きのパターンも存在していることが分かった。特に後者は、粘性が高くスムーズに飲み込むことのできない液体に用いられていた。
この研究によって、蚊は普段はポンプを交互に動かして、「ゴクゴク」と餌を飲み込んでいるが、それが難しい場合は両方のポンプを同時に広げて、「ゴックン」と強力に飲み込んでいるということが分かった。蚊はこの2種類の飲み方を巧みに使い分けることによって、自分の体重ほどの劇的な量の餌を飲み込むことを可能にしていることを理論解析により明らかにした。
マイクロポンプといった、マイクロスケールの流体駆動デバイスの作成は、現段階ではまだ実用化に至るレベルにはなっていない。「夢のような話に貢献できる大発見だ」と菊地准教授は語った。