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【ネタ記事】報道部新入生企画「ふやしおに」 ~周囲を疑う目を養え!~

 報道の現場は何が起こるか分からない。状況は刻一刻と変わる。事件は会議室で起きているわけではなく、いつだって現場で起きている。記者たるもの、眼前の出来事を瞬時に見定めなければならない。特大スクープとなれば、なおさらだ。一瞬の油断が命取りとなり、時として仲間でさえも、疑いの目を向けなければならないのである――




 ということで、今年度の新入生企画は「ふやしおに」である。「昨日の味方は今日の敵」。次々に鬼へと姿を変える仲間たちから、孤独に逃げ切るこのごっこ遊び、まさに新入生を鍛え上げるのにぴったりである。今回の新入生企画を通して、新入生にはぜひ、周囲を疑う目を養ってほしい。

 5月某日、萩ホール前に集まった新入部員は6人。集合するや否や和気あいあいと談笑を交わし、写真のポーズはなんとEXILEの「Choo Choo TRAIN」という陽キャラっぷり……。陰キャラ全開の学友会報道部にあるまじきパリピ感に戦々恐々とする筆者であったが、「今に見てろよ」と、地獄のふやしおにを前にひとりほくそ笑む。

 いよいよ、ふやしおにスタート! 鬼である筆者は高校時代陸上部、脚力には自信がある。60秒を数え、捜索を始める。早速、1人目を発見。この日の天気のようにいつも笑顔がまぶしいSだ。けれど、ふやしおにに容赦は無用、狙った獲物は逃さない。猪突猛進、受験勉強でなまった体のSにすぐさま追いつき、タッチ。うなだれるS。しかし、記者の現場はこれ以上に過酷なのである。ネバーギブアップだ!

 続いて2人目を発見。ピンクのTシャツ、ヘッドフォンがトレードマークのNだ。彼は、名札代わりに用意したガムテープに「肉」なんて書いて額に貼るという、なんともひょうきんな男である。だが、ふやしおにともなれば、いつだって真剣勝負、少しの隙も見せてはいけないのである。あっという間に、タッチ。ふふふ、まるで赤子の手をひねるかのようだ。

 鬼が3人にまで増えてしまえば、こっちのものだ。鬼から逃げ、逃げた先にも鬼……。Hは至近距離で鬼に見つかりジ・エンド、元サッカー部のGは鬼に囲まれ試合終了。NにタッチされたTは何やらご立腹の様子。「だまされた」と唇を尖らせている。どうやらNに、自分は鬼ではないと嘘をつかれたらしい。だが記者であるからには何が真実であるのかを見極める必要がある。ぜひ、この悔しさをばねにスクープを見つけていってほしい。

 さて、残るは1人。いつもひょうひょうとしているK。確定新歓の時、先輩から「もうずっと前から報道部にいるみたい」と評されるほど、すぐに周囲に溶け込めるKのことだから、手強い戦いにはなりそうだった。しかし、それにしても姿が見えない。やがて鬼の間から「いた!」という声が上がる。しかし、全員でその辺りを探すも見つからない。不穏な空気が流れる。「まさか蒸発したんじゃ……」。軽い気持ちで始めたふやしおにが、まさかオカルト的特大スクープになってしまうなんて。「東北大生 鬼ごっこ中に蒸発」なんて見出しの記事が出たらどうしよう……。

 と思ったら、Sの後についてK登場。歓声というより、もはや安堵のため息。話を聞くと、ずっと茂みに隠れていたという。はぁ~、よかったよかった。始まる前は、周囲を疑うだとかなんだとか言っていたけれど、とりあえずKが蒸発してなくて本当によかった……。

 こうして新入生企画は幕を閉じた。周囲を疑う以上に、まずは後輩を信じることが大切だと、先輩心に思った筆者なのであった。みんな、これからよろしくね!
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