次世代放射光施設 青葉山に ~精度向上で産業に貢献へ~
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次世代放射光施設が本学青葉山新キャンパスに整備されることが決まった。2023年の運用を目指す同施設をより利用しやすい環境にするため、本学多元物質科学研究所(多元研)は「放射光産学連携準備室」を設置し、受け入れに向けて動き出した。
放射光施設とは、リング型の加速器の中を光速で運動する電子の方向が曲がった時に発生する「放射光」を用いた研究を行うための実験設備となる施設だ。ナノレベルの物質解析に利用され、成果は半導体、新薬、農業技術など幅広い分野での応用が期待される。
放射光施設は国内に9施設ある。このうち兵庫県にある「SPring-8」は国内最大規模で、硬X線という結晶構造の解析をしやすい電磁波を利用する。しかし、電子の構造の解析に長ける軟X線を大規模に扱える施設がなく、その役割を本学に整備される次世代放射光施設が担うことになる。
今回整備される次世代放射光施設で扱う放射光は、既存の施設と比べ輝度が100倍に上がり、計測の限界や精度が向上する。さらに、光波長の干渉の度合いを表すコヒーレンスも100倍に上がり、実験結果の明瞭さが増すことになる。
次世代放射光施設の建設と運営は、「一般社団法人光化学イノベーションセンター」が行う。理事長は高田昌樹・本学総長特別補佐が務め、本学や企業の役員が集まって構成される組織だ。そのため本学はあくまで用地の提供を行っているにすぎず、運営の主体となっているわけではない。
そこで本学が行う研究での活用をにらんで設置されているのが、放射光産学連携準備室だ。運用開始に備え、予備実験を主導したり、得られた成果を分析、議論できる周辺施設の構想を練ったりしている。室長は本学多元研副所長の福山博之教授が務める。将来的には全学の組織に移行していく見通しだ。
発足したばかりの組織であるため、本格的に動き出すのは、予算のめどが立つこれからだ。しかし福山教授は「多元研ではこれまでさまざまな形で産業界の方々との出会いの場を作ってきた。そのノウハウを生かしたい」と意気込む。周辺施設の整備や産学で連携しての運用方法にあたっては、海外にある放射光施設を参考にしていく方針だ。
放射光施設を用いた産学連携の効果について福山教授は「東北の産業界の復興に役立つ成果が期待できる。そこから雇用の創出につながれば」と語った。本学と連携した上で、東北地方の中小企業でも使いやすい設備にしていく構えだ。
また多元研としても、次世代放射光施設の整備による研究の活性化をにらんでいる。多元研所長の村松淳司教授は、「有機系の研究が主であるため、次世代放射光施設の恩恵を受け研究が進むだろう。基礎的な分野を扱う研究所でもあるので、成果を積み重ねられればいい」と先を見据えた。
村松、福山両教授の研究でも放射光施設によってさらなる発展が見込める。ナノ粒子の構造や表面の組成を研究する村松教授は「すぐにでも使いたい」と熱望。高温になった金属の物性を中心に研究する福山教授も「これまでの設備での研究では知ることができなかった世界が広がると思う」と期待した。
次世代放射光施設は、多元研のほかにも工、農などの本学の各研究科や、金属材料研究所をはじめとした各研究所が活用するとされる。本学全体での研究のレベル向上に大きな期待がかかる次世代放射光施設。着工は来年度を予定している。
放射光施設とは、リング型の加速器の中を光速で運動する電子の方向が曲がった時に発生する「放射光」を用いた研究を行うための実験設備となる施設だ。ナノレベルの物質解析に利用され、成果は半導体、新薬、農業技術など幅広い分野での応用が期待される。
放射光施設は国内に9施設ある。このうち兵庫県にある「SPring-8」は国内最大規模で、硬X線という結晶構造の解析をしやすい電磁波を利用する。しかし、電子の構造の解析に長ける軟X線を大規模に扱える施設がなく、その役割を本学に整備される次世代放射光施設が担うことになる。
今回整備される次世代放射光施設で扱う放射光は、既存の施設と比べ輝度が100倍に上がり、計測の限界や精度が向上する。さらに、光波長の干渉の度合いを表すコヒーレンスも100倍に上がり、実験結果の明瞭さが増すことになる。
次世代放射光施設の建設と運営は、「一般社団法人光化学イノベーションセンター」が行う。理事長は高田昌樹・本学総長特別補佐が務め、本学や企業の役員が集まって構成される組織だ。そのため本学はあくまで用地の提供を行っているにすぎず、運営の主体となっているわけではない。
そこで本学が行う研究での活用をにらんで設置されているのが、放射光産学連携準備室だ。運用開始に備え、予備実験を主導したり、得られた成果を分析、議論できる周辺施設の構想を練ったりしている。室長は本学多元研副所長の福山博之教授が務める。将来的には全学の組織に移行していく見通しだ。
発足したばかりの組織であるため、本格的に動き出すのは、予算のめどが立つこれからだ。しかし福山教授は「多元研ではこれまでさまざまな形で産業界の方々との出会いの場を作ってきた。そのノウハウを生かしたい」と意気込む。周辺施設の整備や産学で連携しての運用方法にあたっては、海外にある放射光施設を参考にしていく方針だ。
放射光施設を用いた産学連携の効果について福山教授は「東北の産業界の復興に役立つ成果が期待できる。そこから雇用の創出につながれば」と語った。本学と連携した上で、東北地方の中小企業でも使いやすい設備にしていく構えだ。
また多元研としても、次世代放射光施設の整備による研究の活性化をにらんでいる。多元研所長の村松淳司教授は、「有機系の研究が主であるため、次世代放射光施設の恩恵を受け研究が進むだろう。基礎的な分野を扱う研究所でもあるので、成果を積み重ねられればいい」と先を見据えた。
村松、福山両教授の研究でも放射光施設によってさらなる発展が見込める。ナノ粒子の構造や表面の組成を研究する村松教授は「すぐにでも使いたい」と熱望。高温になった金属の物性を中心に研究する福山教授も「これまでの設備での研究では知ることができなかった世界が広がると思う」と期待した。
次世代放射光施設は、多元研のほかにも工、農などの本学の各研究科や、金属材料研究所をはじめとした各研究所が活用するとされる。本学全体での研究のレベル向上に大きな期待がかかる次世代放射光施設。着工は来年度を予定している。