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【研究・研究成果】菌類が記憶・決断能力を持つ!? ~知性の進化 解明に期待~

 本学大学院農学研究科の深澤遊助教と英国カーディフ大学のリン・ボッディ教授らによる共同研究グループは、菌類の新しい能力を発見した。それは木片から土壌中に伸びた菌類の菌糸体が新たな木片を見つけた時に、移動するかどうかをその大きさによって決断する能力、そして新しい木片の方向を記憶する能力である。脳も神経系も持たない菌類の菌糸体がもつ知性のメカニズムを解明することで、知性の進化的起源の解明や、生態系の物質循環の理解につながるものと期待される。


 枯れ木や落ち葉は、菌類によって分解されることで土になる。また分解の過程で養分が放出され、それを再び植物が吸収することで森が維持されている。このように菌類は森林生態系になくてはならない生物である。

深澤助教らの研究グループは、森の土の中に菌糸のネットワークを張り巡らせ、枯れ木を探索しながら生活する菌類を用いた実験を行った。プラスチックのトレーに土を敷き、その上に菌を十分繁殖させた木片と新しい木片を置いた。菌糸が新しい木片を見つけ、十分定着した後に元の木片を新しい土の上に置いて、菌糸の生長を観察した。その結果、菌糸は木片から四方に伸びていったものの、新しい木片があった方向により多く伸びていくことを発見した。また、新しい木片のサイズが十分に大きい場合、菌類が元の木片から新しい木片に完全に移動することも発見した。これらの発見により、菌類が記憶能力、および決断能力を持つことが判明した。

 もともと生き物が好きだったという深澤助教。樹木と共生する菌根菌のことを大学の授業で知り、森の樹木同士が菌類を介してつながっていることに興味を持ったのが菌類の研究を始めたきっかけだという。

 脳科学に興味があり、それに関する本をよく読んでいた深澤助教は、ある朝目覚めたときに、菌類が知性を持つかどうかを確かめる実験をするというアイデアが浮かんだという。その理由を睡眠中に経験や思考が再編成されたからだと推測している。

 「興味があることについてよく学び、よく考え、そしてよく寝ること。それが新しいアイデアを生み出すのにはいいのかもしれない」と深澤助教は語った。 
研究成果 8937856711822973549
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