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【ゲーム評】トロピコ6 Kalypso Media

 もしも自分が政権を担ったとしたら、どのような世の中になるのだろうか――。この想像をシミュレーションとしてプレーヤーに提示するゲーム、それが「トロピコシリーズ」だ。写真のタイトル画面に見える陽気な雰囲気とは裏腹に、政治力学や移民問題などの現代の問題に対し、ゲームとブラックジョークを交えつつ迫ることで有名だ。最新作は、Kalypso Mediaによって咋年3月に製作された「トロピコ6」である。


 このゲームでは、プレーヤーはカリブ海に浮かぶ架空の島の独裁者「プレジデンテ」として植民地時代から現代まで、さまざまな時代を統治する。統治する島の人口は当初は400人ほどであるが、島民全員が職はもちろん、保守・環境保護・移民反対などの思想を持ち、この思想をもとにデモを起こすことがある。また、貿易を通じて対外的に交渉していかなければ、島の運営は赤字となる。そのため、内政も外交も意識していかなければならない。円滑に統治するためのツールとして、プレーヤーは建設・貿易・選挙・暴動鎮圧などを行い、投票結果やクーデターによって独裁者の座を追われるまで島を統治していく。とはいうものの、島の統治スタイルは自由で、島を観光立国にするもよし、監視国家を作るもよし。とにかく自分の好きなように国を作ることができる。

 このゲームの本懐はここからだ。例えば前述のようにいわゆる「模範的な」統治を行っていても支持率が下がり、どうしようもなくなることがままある。そのため、選挙で反体制派に回った島民を買収したり独裁者権限を用いて不当に逮捕したりすることで、独裁者の座を保持していくことが不可欠になっていく。ここでようやくプレーヤーの手腕が試される。このような悪行がラテン系の軽快な音楽と南国の雰囲気の島で行われるのだから、プレイすればそのギャップに驚くこと間違いなしだ。

 さらに、最新作「トロピコ6」ならではのシステムとして、海賊やスパイなどの機構が挙げられる。これらの機構では、他の集団・国家から鉄や羊毛などの資源はおろか、彦根城や自由の女神像なども強奪することができる。これらの観光資源による島への恩恵はプレイしてみてのお楽しみだ。

 トロピコシリーズは2001年から続いているゲームでありながら、今なお人気を博している。シリーズものではあるが行うことは前作までとほぼ同じなので、本記事で述べた最新作である6作目をプレイすることをお勧めする。最新作はPS4、Xbox One、またSteamでプレイ可能だ。
文芸評論 910415613968576286
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