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議会ウォッチャー・仙台 ~「通信簿」で市政をチェック~

 「仙台市議会議員の通信簿」というものをご存知だろうか。そこには、仙台市議会の議員が、本会議中にどれだけの回数「離席」「居眠り」「私語」をしたかや、代表質疑・一般質問における質問の質を評価したデータが掲載されている。

 この通信簿を発表しているのが、「議会ウオッチャー・仙台」という団体だ。2008年から活動を始め、これまでに3回「通信簿」を発表している。代表を務める上原仁さんに話を伺った。

 議会ウオッチャー・仙台は、「仙台市民オンブズマン・タイアップグループ」「美しい仙台を創る会」「宮城地域自治研究所」の三つの団体が共同で設立した。地下鉄東西線の公金投入をめぐる訴訟のなかで、議員たちが議会らしい議論をしていなかったことに気付いたという上原さん。当時の市議会について、「小学校の学級崩壊よりも悪い状態だったのでは」と振り返る。

 奥山恵美子・前仙台市長の時代の市議会は、いわゆる「与党体質」が強まっていた。市長を支持する五つの会派が集まって非公式な会議が開かれており、各会派の代表者が意見を交換するほか、市の幹部を交えて定例会前に提出議案の内容の説明が行われていた。首長と議員をそれぞれ直接選挙によって選ぶ二元代表制において、本来地方議会が果たすべき役割である「行政のチェック機能」が欠如していたと上原さんは語る。

 そのような議会を改善し、市民に開かれたものにするべく活動を行ってきた議会ウオッチャー・仙台。本会議が行われる日は少なくとも3人のメンバーが傍聴に訪れ、議員の態度や質問の質をチェックしている。特に質問の質の評価基準に関しては試行錯誤を繰り返してきたといい、「最初に作った基準では、良い質問と悪い質問で点数が両極端になってしまった。そのため、配点を何度も検討し、現在使っているものに落ち着いた」と上原さんは話す。

 11年2月に1回目の「議員の通信簿」を公開。そこから仙台市議会がよい方向へ変わってきていることを実感しているという。特に最近4年間では「離席」と「私語」が劇的に減少しているそうだ。上原さんは変化する議会を見て「継続することが力になると思う」と力強く語った。

 その一方で、上原さんは現在の仙台市議会について、特に市民からの関心の低さに懸念を示す。昨年8月に行われた仙台市議会議員選挙の投票率は、戦後2番目に低い36.07%だった。市内5区の中で最も投票率が低かった宮城野区では33.32%となっており、実に3人に2人が棄権している。

 上原さんはこの状況について、「市民にもっと市政への関心をもってほしい。現在はインターネットでも議会を傍聴できる環境にあるので、ぜひ若い人にも議会に注目してほしい」と話した。その上で、これからの仙台市議会について、「若い人の意見をどのようにくみ上げていくかが重要。一般的に、忖度ができる人間は当然昇進していく。しかし、『これは違うだろう』と言える人がいないといけないし、そのような人を大切にしていかなければならない」と語った。
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