【秒撮】磊々峡 ~新緑映える峡谷で涼を~
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徐々に汗ばむ日々が増え夏の気配を感じるこの時期に、爽やかな風が吹く仙台市内の名所がある。その名は磊々峡(らいらいきょう)。名取川の急流が秋保(あきう)の大地を浸食して作り上げた峡谷だ。
磊々峡という名前は夏目漱石の門人で、本学法文学部の教授でもあった小宮豊隆が付けたといわれている。磊々とは多くの岩が堆積しているようすのこと。その名に違わず、巨大な岩々が複雑に積み重なった荒々しい景観が特徴的だ。仙台市出身の詩人である土井晩翠も巨岩奇岩の形成するこの景色を歌に詠んだという。岩の中には奇面巌(きめんいわ)、天斧巌(てんおのいわ)など物やようすに見立てた名前のついたものがある。磊々峡の両側に整備された遊歩道からそれらを探すのも楽しみ方の一つだ。
四季折々の景観が美しい磊々峡だが、初夏は何といっても新緑が魅力。苔や川の深い緑とは対照的に、若葉が太陽光に透けて萌黄色に光る。また葉が雨露に濡れると、いっそう色がつややかに感じられる。
新生活が始まってからしばらく経ち、疲労を感じることが増えるこの季節。磊々峡ではせわしない日常を忘れさせる雄大な景色を堪能できる。