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【一言居士】ー2022年10月ー

 「今まで言葉とどういう関係をもってきましたか」。涼しい風が吹き始めた頃、テレビをつけるとそんなフレーズが飛び出した。友人関係、恋愛関係、共犯関係。関係にはさまざまな形がある。読者は言葉とどんな関係を築いているだろうか▼以前、友人との間で「ヤバい」を使わないで会話した。「それマジヤバいね」の代わりに「甚だしいね」「卓越しているね」。ある一つの言葉を言い換えるだけで、会話自体の印象が劇的に変わる▼「青春ってすごく密」。今年甲子園で初優勝した仙台育英高校・須江航監督のこの言葉は、大きな反響を呼んだ。本来、「密」は「集まる」という意味でしかない。しかし、近年では新型コロナウイルスを連想させる。そのため、この「密」は青春の象徴という意味と、活動制限の辛さという二重の意味がある▼一つの言葉で多くの意味を補ったり、細かく言葉を使い分けたり、二重の意味を持たせてみたり。表現にはあらゆる可能性がある。この読書の秋、自分と言葉との関係を見直す機会としてみてはどうだろうか。 

(文責・鈴木舞優)

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