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【令和5年度報道部入部試験問題】数学 ~解答・解説~

 

数学 〜解答・解説〜



※ 本ページにおいてスマートフォンをお使いの場合には、一部数式の表示が見づらくなることがございます。PDF版 でも同様の解答・解説をご覧いただけますので、表示が乱れる際には、お手数ですが PDF 版の解答・解説をお試しください。なお、解答・解説 PDF 版の無断転載は固く禁じさせていただきます。

\large\fbox{$\ 1\ $}\ \ \ \ \ \ \
(1)\ \underline{[Point!]}     重複している文字に注意しよう!
アルファベット順は、\rm B→D→H→O→U\rm B,D\ から始まる文字列は、それぞれ\ \frac{7\ !}{3\ !\ 2\ !}=420\   通りあるので、420×2=840個。 \rm HB,\ HD\ から始まる文字列は、それぞれ \ \frac{6\ !}{3\ !\ 2\ !}=60\   通りあるので、60×2=120\ 個。\rm HOB,\ HOD,\ HOO\ から始まる文字列は、それぞれ\ \frac{5\ !}{3\ !}=20\  通りあるので、20×3=60個。\rm HOUB\ から始まる文字列は、\frac{4\ !}{2\ !}=12\  個。 \rm HOUDB\ から始まる文字列は、\frac{3\ !}{2\ !}=3\  個。以降は、\rm HOUDOBUU,\ HOUDOUBU\ となるから840+120+60+12+3+2=\underline{1037\ \text{番目。}}\

(2)
(1)\ と同様にして考えると、先頭が\rm \ B,D,H\ なのは、420×3=1260\ 個。先頭が\ \rm O\ なのは、\frac{7\ !}{3\ !}=840\  個ある。 1260+840=2100\ より、2023\ 番目の文字列の先頭は\rm\ O\rm OUU\ から始まる文字列は、5\ !=120\ 個ある。2100-120=1980<2023\ より、2023\ 番目の文字列の先頭3文字は\rm\  OUU\ である。\rm OUUB,\ OUUD\ から始まる文字列は、4\ !=24\ 個ずつある。1980+24×2=2028\ より、2028\ 番目の文字列は、\rm OUUDUOHB。さて、文字列の後尾\rm\ OHB\ を並び替えてできる文字列は\ 3\ !=6\ 個あるから、2023=2028-6+1\ よりとくに、
2023\ 番目の文字列は、\rm\underline{OUUDUBHO.}

【作題者よりコメント】

 本問は、与えられた文字列を辞書式に並べ替えるという典型的な「数学A・場合の数」の設定であった。しかし、同じ文字が含まれている場合には、本問のように十分に気を使って問題を解く必要がある。(1),\ (2)\ ともに、そこに気づき、適切に処理できたかが完答への分かれ道となったであろう。ただ、その処理方法は今まで教科書でやってきたような基礎的な考え方に基づくものばかりである。上手くその知識を活用できるよう、十分に訓練していこう。

 報道部では、マニュアル通りに動くだけではなく、それらを基礎として目新しいことにもチャレンジし、より面白い記事を書けるような新入部員を心待ちにしている。この問題を少しでも解こうとしたそこのあなたは、まさにそうした人物なのだろうと強引ながら推察する。本学に合格した暁には、ぜひとも報道部へ立ち寄ってともに記事を書いてみてはどうだろうか。

\large\fbox{$\ 2\ $}\ \ \ \ \ \ \
(1)\ \underline{[Point!]}\     3項間漸化式を導いて実験してみよう!
与えられた連立漸化式から、数列\ \{a_{n}\}\ \  の3項間漸化式
\ \ \  a_{n+2}=6a_{n+1}-5a_{n}+12n+n・3^n-4,\ a_2=3\
が導かれる。\ これを利用すると、以下が分かる。
\ \ \ a_1=2,\ a_2=3,\ a_3=19,\ a_4=137,\ a_5=840,\ a_6=4723.
これより、正の整数\ m\ に対し、以下が成り立つと推測する。
 \left\{ \begin{array}{l}a_{3m-2}\ \text{を$3$で割った余りは、}\ 2\\a_{3m-1}\ を3で割った余りは、\ 0\\a_{3m\ }\ \ \ \ を3で割った余りは、\ 1\end{array} \right.\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \    ・・・(\#)
実際、
m=1\ のとき、a_1=2,\ a_2=3,\ a_3=19\     より、(\#)\ を満たす。\ ∴m=1\ のときには成り立つ。
m=k\ (kは正の整数)\ としたとき、
 \left\{ \begin{array}{l} a_{3k-2}\   を3で割った余りは、\ 2\\ a_{3k-1}\   を3で割った余りは、\ 0\\ a_{3k\ }\ \ \ \  を3で割った余りは、\ 1\end{array} \right.
が成り立つと仮定する。 このとき、ある整数\ a,\ b,\ c\ が存在して、a_{3k-2}=3a+2,\ a_{3k-1}=3b,\ a_{3k}=3c+1\        を満たす。このような\ a,\ b,\ c\ を一つずつ取ってくる。すると、
a_{3k+1}=6a_{3k}-5a_{3k-1}+12(3k-1)+(3k-1)・3^{\ 3k-1}-4
=3\{2a_{3k}-5b+4(3k-1)+(3k-1)・3^{\ 3k-2}-2\}+2.
簡単のため以後、M_k=2a_{3k}-5b+4(3k-1)+(3k-1)・3^{\ 3k-2}-2\       とおく。
a_{3k+2}=6a_{3k+1}-5a_{3k}+12・3k+(3k)・3^{3k}-4=3\{2a_{3k+1}-5c+12k+k・3^{3k}-3\}.
a_{3k+3}=6a_{3k+2}-5a_{3k+1}+12・(3k+1)+(3k+1)・3^{\ 3k+1}-4=3\{2a_{3k+2}-5M_k+4・(3k+1)+(3k+1)・3^{3k}-5\}+1.
ここで、正の整数\ k\ に対して、M_k,\ 2a_{3k+1}-5c+12k+k・3^{3k}-3,\ 2a_{3k+2}-5M_k+4・(3k+1)+(3k+1)・3^{3k}-5\     はすべて整数だから、
 \left\{ \begin{array}{l} a_{3(k+1)-2}\     を3で割った余りは、\ 2\\ a_{3(k+1)-1}\     を3で割った余りは、\ 0\\ a_{3(k+1)\ }\ \ \ \    を3で割った余りは、\ 1.\end{array} \right.
よって、m=k+1\ のときに\ (\#)\ が成り立つことが導けた。
以上から、すべての正の整数\ m\ に対し、\ (\#)\ が成り立つことが示された。
以上より、a_n\  がで割り切れる\ n\ の必要十分条件は、n=3m-1\ なる正の整数\ m\ が存在すること。

※ 規則性を調べるときには、「合同法」の考え方を用いると楽に考えられるかもしれません。本答案では、学習指導要領において必履修ではない分野であることを踏まえ、合同法を用いた記述を避けています。

(2) 略解
まず、全ての正の整数\ n\ に対して\ b_{n}\  はの倍数であることが\ (1)\ と同様にして容易に示せる。よって以後、数列\ \{c_n\}\  を全ての正の整数\ n \ に対して\ c_{n}=\frac{b_{n}}{3}\   として定め、c_{n}\  がで割り切れないことを示す。\ \{b_{n}\}\  の3項間漸化式から\ \{c_{n}\}\  の規則性を推測し、数学的帰納法によってそれを証明する。\ なおこの際、\ c_1\  に注意を払う必要がある。

(3) 略解 \ \underline{[Point!]}\     既知の問題に帰着させる
ここがポイント! 計算の工夫

\Sigma (ak^2+bk+c)d^k\   のシンプルな求め方>

e.g.,\ \displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}\left(\small 6k^2-10k-\small \frac94\right)・\left(\frac15\right)^{k+1} \        を求めよう。ただし、n\ 以上の整数とする。

g(k)=(ak^2+bk+c)・\left(\frac15\right)^{k}    とおく。\ (a,\ b,\ c\ は実数)

このとき,g(k+1)-g(k)=\{-4ak^2+(2a-4b)k+a+b-4c\}・\left(\frac15\right)^{k+1}    .

全ての正の整数\ k\ に対して以下の等式

 g(k+1)-g(k)=(6k^2-10k-\frac94)・\left(\frac15\right)^{k+1}

が成り立つ条件は、-4a=6,\ 2a-4b=-10,\ a+b-4c=-\frac94. これを解くと、\ a=-\frac32,\ b=\frac74,\ c=\frac58.  よって、このとき

\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}\small \left(6k^2-10k- \frac94\right)・\left( \frac15\right)^{\tiny k+1}\normalsize \ =\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}\normalsize\left\{g(k+1)-g(k)\right\}

=-g(1)+g(n)=-\frac{7}{40}-\frac18(12n^2-14n-5)・\left(\frac15\right)^{n}.

<解答1>
a_{n+1}=2a_{n}+b_{n},\ \ b_{n+1}=3a_{n}+4b_{n}\ \ \small・・・(☆)\\\normalsize  についてまず考えよう。α,\ β\ を実数として、a_{n+1}+αb_{n+1}=β(a_{n}+αb_{n})\ ・・・(*) \ \       とおく。(☆)\ より\ \ (*\ の左辺)…(2+3α)\ a_n+(1+4α)\ b_n.    \\(*)\ が全ての正の整数\ n\ で成り立つための条件は\ 2+3α=β,1+4α=αβ.\ これを解くと、(α,β)=(1,5),\ (-\frac13,1).

以下、問題の漸化式を考えよう。
(α,β)=(-\frac13,1)\ \ のとき、以下の等式が成り立つ。 a_{n+1}-\frac13b_{n+1}=a_n-\frac13b_n-4n-n・3^{n-1}\ \small・・・①
いま、全ての正の整数\ n\ に対し、c_n=a_n-\frac13b_n\     とおくと、c_1=1,\ c_{n+1}-c_n=-4n-n・3^{n-1}\       が成り立つことが\ ①\ よりわかる。ゆえに、2\leqq n\ のとき c_n=1-\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}(4k+k・3^{k-1}\ )\small =1-2n(n-1)-S_n. ただしここで、S_n=\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}k・3^{k-1}\normalsize\      とおいた。
S_n\  を求めると
\ S_n=\frac14+\frac14(2n-3)3^{n-1}.
よって、2\leqq n\ のとき、
c_n=\frac34-2n(n-1)-\frac14(2n-3)・3^{n-1}.\small・・・②
n=1\ のとき\ \frac34-2・1・0-\frac14・(2-3)・3^{0}=1.
c_1=1\  だから、②\ \ n=1\ のときも成り立つ。
\ c_n\  の定め方より、以下の等式が成り立つ。
 3a_n-b_n=\frac94-6n(n-1)-\frac14(2n-3)・3^{n}\small・・・③

<解答1-1>
(α,β)=(1,5)\ のとき、以下の等式が成り立つ。
\ a_{n+1}+b_{n+1}=5(a_n+b_n)-4n+n・3^{n}\ \small・・・④
いま、全ての正の整数\ n\ に対し、
d_n=\frac{\ \ a_n\ +\ b_n\ \ }{\ 5^n\ }    とおくと、
d_1=1,\ \ d_{n+1}-d_n=\frac{n}5\left(\frac35\right)^{n}-4n\left(\frac15\right)^{n+1}\
が成り立つことが\ ④\ よりわかる。\ 2\leqq n\ のとき
d_n=1+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}\small \left\{\frac{k}5\left(\frac35\right)^{k}-4k\left(\frac15\right)^{k+1}\right\}\normalsize
=\frac32-\frac14(2n+3)\left(\frac35\right)^n+\frac14(4n+1)\left(\frac15\right)^n.\small・・・⑤
n=1\ のとき\ \frac32-\frac14・(2+3)・\frac35+\frac14・(4+1)・\frac15=1.
d_1=1\  だから、⑤\ \ n=1\ のときも成り立つ。
\ d_n\  の定め方より、以下の等式が成り立つ。
a_n+b_n=n+\frac14+\frac32・5^n-\frac14(2n+3)・3^{n}\small・・・⑥
\frac{\ ③+⑥\ \ \ \ }{\ 4\ }\ \ \ \ \  を求めると、\underline{a_n\ \ \ =-\frac32\ n^2\ \ \ +\frac74\ n+\frac58+\frac38・5^n\ \ \ -\frac14\ n・3^n}                .

<解答1-2>
③\ \ a_{n+1}=2a_{n}+b_{n}-4n\ \     に代入すると、
a_{n+1}=5a_n-\frac94+6n^2-10n+\frac14(2n-3)・3^n.
いま、全ての正の整数\ n\ に対し\ e_n=\frac{a_n}{5^n}   とおくと、e_1=\frac25\ \ \  で、e_{n+1}-e_n=\left(6n^2-10n-\frac94\right)\left(\frac15\right)^{n+1}+\frac1{20}(2n-3)\left(\frac35\right)^n.
さて、2\leqq n\ のとき、
e_n=\frac25+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}\left\{\small\left(6k^2-10k-\small\frac94\normalsize\right)\left(\small\frac15\normalsize\right)^{k+1}+\small\frac1{20}\normalsize(2k-3)\left(\small\frac35\normalsize\right)^k\right\}
=\frac38-\frac18(\small12n^2-14n-5\normalsize)\left(\frac15\right)^n-\frac14n\left(\frac35\right)^n.\small・・・⑦
   ※ここでの計算は、↑の工夫で簡単にできる
n=1\ のとき \frac38-\frac18・(\small12-14-5\normalsize)・\frac15-\frac14・\frac35=\frac25.
e_1=\frac25\ \  だから、⑦\ \ n=1\ のときも成り立つ。 
\ e_n\  の定め方より、以下の等式が成り立つ。
 a_n=-\frac32\ n^2+\frac74n+\frac58+\frac38・5^n-\frac14\ n・3^n

<解答2> 
(☆)\ から\ \{a_n\}\  の隣接3項間漸化式を導くと、a_2=4+3-4=3.\ \ a_{n+2}=6a_{n+1}-5a_{n}+12n+n・3^n-4. 
よって、この漸化式を変形すると、
a_{n+2}-a_{n+1}=5(a_{n+1}-a_{n})+12n+n・3^n-4.
いま、全ての正の整数\ n\ に対し、
f_n=\frac{\ a_{n+1}\normalsize\ \ \ \ -a_{n}\ }{\ 5^n\ }\     とおくと、f_1=\frac15\   で、f_{n+1}-f_n=4(3n-1)\left(\frac15\right)^n+\frac{n}5\left(\frac35\right)^n.
さて、2\leqq n\ のとき、f_n=\frac15+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}\left\{\small 4(3k-1)\left(\frac15\right)^k+\frac{k}5\left(\frac35\right)^k\right\}
\ =\frac32-\frac14(\small2n+3)\left(\frac35\right)^n-\frac14(12n-1)\left(\frac15\right)^n.\small・・・⑧
   ※ここでの計算は、↑の工夫で簡単にできる
n=1\ のとき\ \frac32-\frac14・(\small2+3\normalsize)・\frac35-\frac14・(\small12-1\normalsize)・\frac15=\frac15.
f_1=\frac15\ \  だから、⑧\ \ n=1\ のときも成り立つ。
\ f_n\  の定め方より、以下の等式が成り立つ。
 a_{n+1}-a_n=-3n+\frac14+\frac32・5^n-\frac14(2n+3)・3^nさて、2\leqq n\ のとき、
a_n=2+ \displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}\normalsize(a_{k+1}-a_k)
\small =2-\frac32(n-1)n+\frac14(n-1)+\frac{15}2・\frac{5^{n-1}\ \ \ -1}{5-1}-\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}\left\{\frac14(2k+3)・3^k\right\}
=-\frac32n^2+\frac74n+\frac58+\frac38・5^n-\frac14n・3^n. \small・・・⑨
   ※ここでの計算は、↑の工夫で簡単にできる
n=1\ のとき\ -\frac32+\frac74+\frac58+\frac38・5-\frac14・3=2.
a_1=2\  だから、⑨\ \ n=1\ のときも成り立つ。
ゆえに、a_n=-\frac32n^2+\frac74n+\frac58+\frac38・5^n-\frac14n・3^n.

【作題者よりコメント】

 本問は、おもに「数学B・数列」における連立漸化式に関するものであった。(3)では、数列\ \{b_n\}\ \ \ \ の一般項まで解くようには求めていないことから、上記のように複数の解き方が考えられる。なお、行列を用いて解くことは本問の場合、あまり簡単とはいえない。見たことのない漸化式であっても、教科書にある基本的な形に落とし込んで処理できたかが重要である。本問で考えた数列\ \{a_n\}\ \ \ \ \ a_{n+5}-13a_{n+4}+62a_{n+3}-134a_{n+2}+129a_{n+1}-45a_{n}-48=0を満たす数列としても考えられる。その理由を考えてみよう。

\large\fbox{$\ 3\ $}\ \ \ \ \ \ \
(1)\  略解
非負の実数\ x\ に対して、関数\ f\ を次で定める。
\ f(x)=e^x-\left(1+x+\frac{1}{2\ !}\ x^2+\frac{1}{3\ !}\ x^3\right)
このとき、f\ は単調増加関数であることが\ f\ を微分することで確かめられる。これと\ f(0)=0\ より、全ての正の実数\ x \ に対して、\ f(x)>0\ であることが従う。以上より、目標の不等式が導かれる。

(2)\
I_1=\small\displaystyle \int_{-1}^{\ 0}\ \small \frac{x}{a x + b}\ \ \normalsize dx=\small \displaystyle \int_{-1}^{\ 0}\ \small \frac{\frac1a(ax+b)-\frac ba}{a x + b}\ \ \normalsize dx
\ \normalsize = \small \displaystyle \int_{-1}^{\ 0}\ \small \left( \frac 1a-\frac{b}{a^2 x + ab}\right)\ \ \normalsize dx
\ =\left[\ \frac xa-\frac{b}{a^2}\log|a^2x+ab|\ \right]_{-1}^{\ 0}
\ =\underline{\frac1a+\frac{b}{a^2}\log\left(1-\frac ab\right)\ }         .
ここで、a,\ b\ \ 0<2a\leqq b\ を満たすのでとくに\ (1-\frac ab)>0\ \ \ であることを用いた。

 <別解>\ ax+b=t\ (t\ は実数)\ で置換積分

(3)\ \underline{[Point!]}\     積分漸化式作る→上手く部分積分(別の解法の場合も存在する)

\ I_n=\displaystyle \small \int_{-1}^{\ 0}\ \left(\frac{x^{n+1}}{n+1} \right)'\left(\small \frac{1}{a x + b}\right)^{\ \small n}\normalsize\ \ dx\  
\ \ \ \ =\left[\ \frac{x^{n+1}}{n+1} (\frac{1}{ax+b})^{n} \right]_{-1}^{\ 0}\ \ +\small  \displaystyle \frac{na}{n+1}\small \int_{-1}^{\ 0}\ x^{n+1}\small\frac{(ax+b)^{n-1}}{(a x + b)^{2n}}\normalsize dx\  
\ \ \ \ =\underline{\frac{(-1)^{n}}{n+1}\left(\frac{1}{b-a}\right)^n\ +\frac{na}{n+1}I_{n+1}\ }           .

 <別解>
\ I_{n+1}=\displaystyle \small \int_{-1}^{\ 0}x^{n+1} \left(\small \frac{(ax+b)^{-n}}{-na}\right)'\ \normalsize\ \ \ \ \ dx\  
 \ \ \ \ \ \ \ \ =\left[\ \frac{x^{n+1}}{-na} (\frac{1}{ax+b})^{n} \right]_{-1}^{\ 0}+\small  \displaystyle \small \frac{n+1}{na}\small \int_{-1}^{\ 0} x^{n}(a x + b)^{-n}\normalsize dx\  
 \ \ \ \ \ =\frac{(-1)^{n+1}}{na}\left(\frac{1}{b-a}\right)^{n}+\frac{n+1}{na}I_n\ .
より、特に以下の等式が導かれる。
\ \ \ I_n=\frac{(-1)^{n}}{n+1}\left(\frac{1}{b-a}\right)^{n}+\frac{na}{n+1}I_{n+1}

(4)\ \underline{[Point!]}\     はさみうちの原理を用いてみよう
-1\leqq x \leqq 0\ のとき、-1\leqq x^n \leqq 1.・・・①
0< 2a \leqq b\ より、ax+b \geqq (-1+2)a>0\ が成り立つので、\frac1n\left(\frac{a}{ax+b}\right)^n\ >0.\ \ \     これを\ ①\ の両辺にかけると
 -\frac1n\left(\frac{a}{ax+b}\right)^n\leqq \frac1n\left(\frac{ax}{ax+b}\right)^n \leqq \frac1n\left(\frac{a}{ax+b}\right)^n.・・・②
②\ より、-1\leqq x \leqq 0\ において積分したとき、
\displaystyle \small -\frac1n\int_{-1}^{\ 0} \left(\frac{a}{ax+b}\right)^n\normalsize dx\ \leqq\displaystyle \small\frac1n \int_{-1}^{\ 0}\left(\frac{ax}{ax+b}\right)^n \normalsize dx\ \leqq\displaystyle \small \frac1n\int_{-1}^{\ 0} \left(\frac{a}{ax+b}\right)^n\normalsize dx\ ・・・③
が従う。さて\ \displaystyle \lim_{n \to \infty}\displaystyle \small\frac1n \int_{-1}^{\ 0}\small \left(\frac{a}{ax+b}\right)^n\normalsize \ \ dx\ \ \ \ \ \         をまず求めよう。
-1\leqq x \leqq 0\ ,\ 0< 2a \leqq b\ のとき、(0<)\ a\leqq-a+b<ax+b<b\ が成り立つ。よって、この不等式の逆数をとって、a\ をかけると\ 1>\frac{a}{ax+b}>\frac ab>0\ \ \   が成り立つ。よって、0<\displaystyle \small\frac1n \int_{-1}^{\ 0}\small \left(\frac{a}{ax+b}\right)^n\normalsize dx<\frac{1}{n}・・・④\ \ \ \        が従う。
\displaystyle \lim_{n \to \infty}\displaystyle \small\frac1n \normalsize =0\ \    と\ ④\ より、はさみうちの原理を用いて
\displaystyle \lim_{n \to \infty}\displaystyle \small\frac1n \int_{-1}^{\ 0}\small \left(\frac{a}{ax+b}\right)^n\normalsize dx\ =0\ \          が示される。
これと\ ③\ より、はさみうちの原理を用いて\displaystyle \lim_{n \to \infty}\displaystyle \small\frac1n \int_{-1}^{\ 0}\left(\frac{ax}{ax+b}\right)^n \normalsize dx=0\ \ \ \ \         であることが示された。ゆえに
\ \displaystyle \lim_{n \to \infty}\displaystyle \small\frac1n \int_{-1}^{\ 0}\left(\frac{ax}{ax+b}\right)^n \ \normalsize dx\ =0\ . 

(5)
c \in[-1,0)\ を1つとって固定する。(3)\ より、I_n=\frac{(-1)^{n}}{n+1}\left(\frac{1}{b-a}\right)^n+\frac{na}{n+1}I_{n+1}.
この両辺に\ \frac{a^n}{n}\  をかけると、以下の等式が成り立つ。
 -\frac{a^{n+1}}{n+1}I_{n+1}+\frac{a^{n}}{n}I_{n}=\frac{1}{n(n+1)}\left(\frac{1}{1-\frac{b}{a}}\right)^n.\small・・・⑤
いま、a=1,\ b=1-\frac1c\ \ とおくと、0<2a\leqq b\ を満たし、かつ\ ⑤\ より\ -\frac{a^{n+1}}{n+1}I_{n+1}+\frac{a^{n}}{n}I_{n}=\frac{c^{\ n}}{n(n+1)}.
\tiny
[補足]\ \frac{1}{1-\frac{b}{a}}=c\ \   なるように\ a,\ b\ を1つずつとるとき、a\ を正の実数としてとれば、0<2a\leqq b\ が直ちに従う
 
このとき、全ての正の整数\ n\ について、(2)\ より
\small  \displaystyle \sum_{k=1}^{n} \frac{c^{\ k}}{k(k+1)}\normalsize=\small \displaystyle \sum_{k=1}^{n} \left(-\frac{a^{k+1}}{k+1}I_{k+1}+\frac{a^{k}}{k}I_{k}\right)
      =aI_1-\frac{a^{n+1}}{n+1}I_{n+1}=1+\frac ba\log\left(1-\frac ab\right)-\frac{a^{n+1}}{n+1}\ I_{n+1}
が成り立つ。(4)\ より\ \displaystyle \lim_{n \to \infty}\small \frac{a^{n+1}}{n+1}I_{n+1}\normalsize=0\       だから、
  \small  \displaystyle \sum_{k=1}^{\infty} \frac{c^{\ k}}{k(k+1)}\normalsize=1+\frac ba\log\left(1-\frac ab\right)\ .\small・・・⑥
     ただし、a=1,\ b=1-\frac1c\ . 
\frac ba=s\ \ \ (s\ は実数)\ とおく。とくに、s=1-\frac1c\ . c \in[-1,0)\ より、2\leqq s\ . 関数\ g\ を次で定める。
   g(t)=t\log(1-\frac1t) \ \ \ \ (\ 2\leqq t,\ t\ \ \ は実数)
g'(t)=\log(1-\frac 1t)+\frac{1}{t-1}.  g''(t)=-\frac{1}{\ t\ (t-1)^2}<0. 
\displaystyle \lim_{t \to \infty}g'(t)=0\    であるから、2\leqq t\ のとき、g'(t)>0.\ \  よって、g(t)\ は単調増加。\ \ g(2)=2\log\frac12=-2\log2.
(1)\ より\ e^{\frac{7}{10}}>2\   が示せるので、とくに\ \ g(2)>-\frac75.
対数関数の連続性より、\displaystyle \lim_{t \to \infty}g(t)=\lim_{h \to -0}\log\frac{1}{(1+h)^\frac1h}=\log\frac1e=-1.
よって\ 2\leqq t\ のとき、-\frac75<g(t)<-1.\small・・・⑦
⑥\ より、2\ 以上の\ s\ に対して\ \small  \displaystyle \sum_{k=1}^{\infty} \frac{c^{\ k}}{k(k+1)}\normalsize=1+g(s)      と表せることと\ ⑦\ より、c \in [-1,0)\ \ \ の取り方によらず\ -\frac{2}{5}<S_c<0\ \ \ \  が成り立つことが示された。

【作題者よりコメント】

 本問は、積分漸化式を用いた無限級数の和を求める典型的な問題であった。解法も定型的なものである。部分積分や極限の扱い、微分など数学Ⅲの知識が必要不可欠であり、(5)は特に難しい。報道部では数学Ⅲを存分に発揮するほどのことはそうそうない。しかし、そこで培われた教養や思考力は大いに役に立つであろう。c\ の範囲と、積分の区間がともに-1\ から\ 0\ だったのはただの偶然であろう。なお、なぜ対数関数が出てくるのか気になった方は以下を参照してほしい。
作題者の考察(※高校数学範囲外)

c=(-1)・α\ なる\ α \in (0,1]\ を考えてみよう。全ての正の整数\ n\ に対し、部分分数分解を施すと

\small \displaystyle \sum_{k=1}^{n} \frac{c^{\ k}}{k(k+1)}\normalsize=\small \displaystyle \sum_{k=1}^{n} \frac{(-1)^{\ k}\alpha ^{\ k}}{k(k+1)}\normalsize=\small \displaystyle \sum_{k=1}^{n} \left(\frac{(-1)^{\ k}\alpha ^{\ k}}{k} -\frac{(-1)^{\ k}\alpha ^{\ k}}{k+1}\right)

=-\alpha \small \displaystyle \sum_{k=1}^{n} \frac{(-1)^{\ k-1}\ \alpha ^{\ k-1}}{k} -\left(-1+\frac{(-a)^n}{n+1}+\small \displaystyle \sum_{k=1}^{n} \frac{(-1)^{\ k-1}\ \alpha ^{\ k-1}}{k}\right)

=1-\frac{(-a)^n}{n+1}-(\alpha+1)\small \displaystyle \sum_{k=1}^{n} \frac{(-\alpha)^{\ k-1}}{k}.\small・・・⑧

-1<x\leqq1\ なる実数\ x\ に対し、次の等式が成り立つことが知られている。

\ \small(\ \log(1+x)\ のマクローリン展開)

   \log(1+x)=\small \displaystyle \sum_{k=0}^{\infty} (-1)^{\ k}\ \frac{x^{k+1}}{k+1}\ \  

この等式を用いて、⑥\ を導いてみよう。

\small \displaystyle \sum_{k=1}^{n} \frac{(-\alpha)^{\ k-1}}{k}\normalsize=-\frac1\alpha \small \displaystyle \sum_{k=1}^{n} \frac{(-\alpha)^{\ k}}{k}\normalsize=\frac1\alpha \small \displaystyle \sum_{k=0}^{n-1} (-1)^k\frac{\alpha^{\ k+1}}{k+1}\normalsize\ \ \

だから\ ⑧\ において\ n\to\infty\ とすると、

\small  \displaystyle \sum_{k=1}^{\infty} \ \ \ \ \frac{c^{\ k}}{k(k+1)}\     の絶対収束性より、S_c=\small1-(\alpha+1)・\frac1\alpha\log(1+α)\normalsize=\small1-\left(1+\frac1\alpha\right)\log(1+α).\small ・・・⑨

ここで、⑨\ において\ \alpha=-c,\ \frac1c=1-\frac ba\ \  とすると、

S_c=1-\{1-(1-\frac ba)\}\log(1-c)=1+\frac ba\log\frac{1}{1-c}

 \ =1+\frac ba\log\left(\frac{(c-1)-c}{c-1}\right)=1+\frac ba\log\left(1-\frac{1}{1-\frac1c}\right)

 \ =1+\frac ba\log\left(1-\frac ab\right)

となり、⑥ \ が得られた。

\ ⑧,⑨\ \ g(2)=-2\log2\ より、\alpha=1\ のとき、1-2\log2=1-2\small \displaystyle \sum_{k=1}^{\infty} \frac{(-1)^{\ k-1}}{k}\normalsize \

だからとくに、

   \small \displaystyle \sum_{k=1}^{\infty} \frac{(-1)^{\ k-1}}{k}\normalsize=\log2 

が成り立つ。この無限級数は “メルカトル級数" などと呼ばれる。

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