(1)\ \underline{[Point!]}\ 3項間漸化式を導いて実験してみよう!
与えられた連立漸化式から、数列\ \{a_{n}\}\ \ の3項間漸化式
\ \ \ a_{n+2}=6a_{n+1}-5a_{n}+12n+n・3^n-4,\ a_2=3\
が導かれる。\ これを利用すると、以下が分かる。
\ \ \ a_1=2,\ a_2=3,\ a_3=19,\ a_4=137,\ a_5=840,\ a_6=4723.
これより、正の整数\ m\ に対し、以下が成り立つと推測する。
\left\{ \begin{array}{l}a_{3m-2}\ \text{を$3$で割った余りは、}\ 2\\a_{3m-1}\ を3で割った余りは、\ 0\\a_{3m\ }\ \ \ \ を3で割った余りは、\ 1\end{array} \right.\ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ ・・・(\#)
実際、
・m=1\ のとき、a_1=2,\ a_2=3,\ a_3=19\ より、(\#)\ を満たす。\ ∴m=1\ のときには成り立つ。
・m=k\ (kは正の整数)\ としたとき、
\left\{ \begin{array}{l} a_{3k-2}\ を3で割った余りは、\ 2\\ a_{3k-1}\ を3で割った余りは、\ 0\\ a_{3k\ }\ \ \ \ を3で割った余りは、\ 1\end{array} \right.
が成り立つと仮定する。 このとき、ある整数\ a,\ b,\ c\ が存在して、a_{3k-2}=3a+2,\ a_{3k-1}=3b,\ a_{3k}=3c+1\ を満たす。このような\ a,\ b,\ c\ を一つずつ取ってくる。すると、
a_{3k+1}=6a_{3k}-5a_{3k-1}+12(3k-1)+(3k-1)・3^{\ 3k-1}-4
=3\{2a_{3k}-5b+4(3k-1)+(3k-1)・3^{\ 3k-2}-2\}+2.
簡単のため以後、M_k=2a_{3k}-5b+4(3k-1)+(3k-1)・3^{\ 3k-2}-2\ とおく。
a_{3k+2}=6a_{3k+1}-5a_{3k}+12・3k+(3k)・3^{3k}-4=3\{2a_{3k+1}-5c+12k+k・3^{3k}-3\}.
a_{3k+3}=6a_{3k+2}-5a_{3k+1}+12・(3k+1)+(3k+1)・3^{\ 3k+1}-4=3\{2a_{3k+2}-5M_k+4・(3k+1)+(3k+1)・3^{3k}-5\}+1.
ここで、正の整数\ k\ に対して、M_k,\ 2a_{3k+1}-5c+12k+k・3^{3k}-3,\ 2a_{3k+2}-5M_k+4・(3k+1)+(3k+1)・3^{3k}-5\ はすべて整数だから、
\left\{ \begin{array}{l} a_{3(k+1)-2}\ を3で割った余りは、\ 2\\ a_{3(k+1)-1}\ を3で割った余りは、\ 0\\ a_{3(k+1)\ }\ \ \ \ を3で割った余りは、\ 1.\end{array} \right.
よって、m=k+1\ のときに\ (\#)\ が成り立つことが導けた。
以上から、すべての正の整数\ m\ に対し、\ (\#)\ が成り立つことが示された。
以上より、a_n\ が3で割り切れる\ n\ の必要十分条件は、n=3m-1\ なる正の整数\ m\ が存在すること。
※ 規則性を調べるときには、「合同法」の考え方を用いると楽に考えられるかもしれません。本答案では、学習指導要領において必履修ではない分野であることを踏まえ、合同法を用いた記述を避けています。
(2) 略解
まず、全ての正の整数\ n\ に対して\ b_{n}\ は3の倍数であることが\ (1)\ と同様にして容易に示せる。よって以後、数列\ \{c_n\}\ を全ての正の整数\ n \ に対して\ c_{n}=\frac{b_{n}}{3}\ として定め、c_{n}\ が3で割り切れないことを示す。\ \{b_{n}\}\ の3項間漸化式から\ \{c_{n}\}\ の規則性を推測し、数学的帰納法によってそれを証明する。\ なおこの際、\ c_1\ に注意を払う必要がある。
(3) 略解 \ \underline{[Point!]}\ 既知の問題に帰着させるここがポイント! 計算の工夫<\Sigma (ak^2+bk+c)d^k\ のシンプルな求め方>
e.g.,\ \displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}\left(\small 6k^2-10k-\small \frac94\right)・\left(\frac15\right)^{k+1} \ を求めよう。ただし、n\ は2以上の整数とする。
g(k)=(ak^2+bk+c)・\left(\frac15\right)^{k} とおく。\ (a,\ b,\ c\ は実数)
このとき,g(k+1)-g(k)=\{-4ak^2+(2a-4b)k+a+b-4c\}・\left(\frac15\right)^{k+1} .
全ての正の整数\ k\ に対して以下の等式
g(k+1)-g(k)=(6k^2-10k-\frac94)・\left(\frac15\right)^{k+1}
が成り立つ条件は、-4a=6,\ 2a-4b=-10,\ a+b-4c=-\frac94. これを解くと、\ a=-\frac32,\ b=\frac74,\ c=\frac58. よって、このとき
\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}\small \left(6k^2-10k- \frac94\right)・\left( \frac15\right)^{\tiny k+1}\normalsize \ =\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}\normalsize\left\{g(k+1)-g(k)\right\}
=-g(1)+g(n)=-\frac{7}{40}-\frac18(12n^2-14n-5)・\left(\frac15\right)^{n}.
<解答1>
a_{n+1}=2a_{n}+b_{n},\ \ b_{n+1}=3a_{n}+4b_{n}\ \ \small・・・(☆)\\\normalsize についてまず考えよう。α,\ β\ を実数として、a_{n+1}+αb_{n+1}=β(a_{n}+αb_{n})\ ・・・(*) \ \ とおく。(☆)\ より\ \ (*\ の左辺)…(2+3α)\ a_n+(1+4α)\ b_n. \\(*)\ が全ての正の整数\ n\ で成り立つための条件は\ 2+3α=β,1+4α=αβ.\ これを解くと、(α,β)=(1,5),\ (-\frac13,1).
以下、問題の漸化式を考えよう。
(α,β)=(-\frac13,1)\ \ のとき、以下の等式が成り立つ。 a_{n+1}-\frac13b_{n+1}=a_n-\frac13b_n-4n-n・3^{n-1}\ \small・・・①
いま、全ての正の整数\ n\ に対し、c_n=a_n-\frac13b_n\ とおくと、c_1=1,\ c_{n+1}-c_n=-4n-n・3^{n-1}\ が成り立つことが\ ①\ よりわかる。ゆえに、2\leqq n\ のとき c_n=1-\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}(4k+k・3^{k-1}\ )\small =1-2n(n-1)-S_n. ただしここで、S_n=\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}k・3^{k-1}\normalsize\ とおいた。
S_n\ を求めると
\ S_n=\frac14+\frac14(2n-3)3^{n-1}.
よって、2\leqq n\ のとき、
c_n=\frac34-2n(n-1)-\frac14(2n-3)・3^{n-1}.\small・・・②
n=1\ のとき\ \frac34-2・1・0-\frac14・(2-3)・3^{0}=1.
c_1=1\ だから、②\ は\ n=1\ のときも成り立つ。
∴\ c_n\ の定め方より、以下の等式が成り立つ。
3a_n-b_n=\frac94-6n(n-1)-\frac14(2n-3)・3^{n}\small・・・③
<解答1-1>
(α,β)=(1,5)\ のとき、以下の等式が成り立つ。
\ a_{n+1}+b_{n+1}=5(a_n+b_n)-4n+n・3^{n}\ \small・・・④
いま、全ての正の整数\ n\ に対し、
d_n=\frac{\ \ a_n\ +\ b_n\ \ }{\ 5^n\ } とおくと、
d_1=1,\ \ d_{n+1}-d_n=\frac{n}5\left(\frac35\right)^{n}-4n\left(\frac15\right)^{n+1}\
が成り立つことが\ ④\ よりわかる。\ 2\leqq n\ のとき
d_n=1+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}\small \left\{\frac{k}5\left(\frac35\right)^{k}-4k\left(\frac15\right)^{k+1}\right\}\normalsize
=\frac32-\frac14(2n+3)\left(\frac35\right)^n+\frac14(4n+1)\left(\frac15\right)^n.\small・・・⑤
n=1\ のとき\ \frac32-\frac14・(2+3)・\frac35+\frac14・(4+1)・\frac15=1.
d_1=1\ だから、⑤\ は\ n=1\ のときも成り立つ。
∴\ d_n\ の定め方より、以下の等式が成り立つ。
a_n+b_n=n+\frac14+\frac32・5^n-\frac14(2n+3)・3^{n}\small・・・⑥
\frac{\ ③+⑥\ \ \ \ }{\ 4\ }\ \ \ \ \ を求めると、\underline{a_n\ \ \ =-\frac32\ n^2\ \ \ +\frac74\ n+\frac58+\frac38・5^n\ \ \ -\frac14\ n・3^n} .
<解答1-2>
③\ を\ a_{n+1}=2a_{n}+b_{n}-4n\ \ に代入すると、
a_{n+1}=5a_n-\frac94+6n^2-10n+\frac14(2n-3)・3^n.
いま、全ての正の整数\ n\ に対し\ e_n=\frac{a_n}{5^n} とおくと、e_1=\frac25\ \ \ で、e_{n+1}-e_n=\left(6n^2-10n-\frac94\right)\left(\frac15\right)^{n+1}+\frac1{20}(2n-3)\left(\frac35\right)^n.
さて、2\leqq n\ のとき、
e_n=\frac25+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}\left\{\small\left(6k^2-10k-\small\frac94\normalsize\right)\left(\small\frac15\normalsize\right)^{k+1}+\small\frac1{20}\normalsize(2k-3)\left(\small\frac35\normalsize\right)^k\right\}
=\frac38-\frac18(\small12n^2-14n-5\normalsize)\left(\frac15\right)^n-\frac14n\left(\frac35\right)^n.\small・・・⑦
※ここでの計算は、↑の工夫で簡単にできる
n=1\ のとき \frac38-\frac18・(\small12-14-5\normalsize)・\frac15-\frac14・\frac35=\frac25.
e_1=\frac25\ \ だから、⑦\ は\ n=1\ のときも成り立つ。
∴\ e_n\ の定め方より、以下の等式が成り立つ。
a_n=-\frac32\ n^2+\frac74n+\frac58+\frac38・5^n-\frac14\ n・3^n
<解答2>
(☆)\ から\ \{a_n\}\ の隣接3項間漸化式を導くと、a_2=4+3-4=3.\ \ a_{n+2}=6a_{n+1}-5a_{n}+12n+n・3^n-4.
よって、この漸化式を変形すると、
a_{n+2}-a_{n+1}=5(a_{n+1}-a_{n})+12n+n・3^n-4.
いま、全ての正の整数\ n\ に対し、
f_n=\frac{\ a_{n+1}\normalsize\ \ \ \ -a_{n}\ }{\ 5^n\ }\ とおくと、f_1=\frac15\ で、f_{n+1}-f_n=4(3n-1)\left(\frac15\right)^n+\frac{n}5\left(\frac35\right)^n.
さて、2\leqq n\ のとき、f_n=\frac15+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}\left\{\small 4(3k-1)\left(\frac15\right)^k+\frac{k}5\left(\frac35\right)^k\right\}
\ =\frac32-\frac14(\small2n+3)\left(\frac35\right)^n-\frac14(12n-1)\left(\frac15\right)^n.\small・・・⑧
※ここでの計算は、↑の工夫で簡単にできる
n=1\ のとき\ \frac32-\frac14・(\small2+3\normalsize)・\frac35-\frac14・(\small12-1\normalsize)・\frac15=\frac15.
f_1=\frac15\ \ だから、⑧\ は\ n=1\ のときも成り立つ。
∴\ f_n\ の定め方より、以下の等式が成り立つ。
a_{n+1}-a_n=-3n+\frac14+\frac32・5^n-\frac14(2n+3)・3^nさて、2\leqq n\ のとき、
a_n=2+ \displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}\normalsize(a_{k+1}-a_k)
\small =2-\frac32(n-1)n+\frac14(n-1)+\frac{15}2・\frac{5^{n-1}\ \ \ -1}{5-1}-\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}\left\{\frac14(2k+3)・3^k\right\}
=-\frac32n^2+\frac74n+\frac58+\frac38・5^n-\frac14n・3^n. \small・・・⑨
※ここでの計算は、↑の工夫で簡単にできる
n=1\ のとき\ -\frac32+\frac74+\frac58+\frac38・5-\frac14・3=2.
a_1=2\ だから、⑨\ は\ n=1\ のときも成り立つ。
ゆえに、a_n=-\frac32n^2+\frac74n+\frac58+\frac38・5^n-\frac14n・3^n.
【作題者よりコメント】
本問は、おもに「数学B・数列」における連立漸化式に関するものであった。(3)では、数列\ \{b_n\}\ \ \ \ の一般項まで解くようには求めていないことから、上記のように複数の解き方が考えられる。なお、行列を用いて解くことは本問の場合、あまり簡単とはいえない。見たことのない漸化式であっても、教科書にある基本的な形に落とし込んで処理できたかが重要である。本問で考えた数列\ \{a_n\}\ \ \ \ は\ a_{n+5}-13a_{n+4}+62a_{n+3}-134a_{n+2}+129a_{n+1}-45a_{n}-48=0を満たす数列としても考えられる。その理由を考えてみよう。
\large\fbox{$\ 3\ $}\ \ \ \ \ \ \