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【ニュース】実験結果を捏造、改ざん 〜元院生の博士学位 取り消し〜

 本学は3月、本学大学院生命科学研究科の元大学院生による、論文中の図の造・改ざんがあったことを発表した。本学学務審議会は、当該学生の博士学位の取り消しと学位記の返還を決定した。当該の元大学院生が関わった他の論文2編についても、同様の不正行為が確認された。本事案の一因に、元大学院生の研究不正に対する不十分な意識があった。これを受けて本学は、研究倫理教育の徹底を目指すとした。



論文3編に不正行為認定


 2021年3月、本学学際科学フロンティア研究所に所属していた元助教が責任著者である論文中の図が、切り貼りされたものだという可能性があると、元助教本人が所属研究機関を通じて本学告発窓口に連絡した。当該図に関する実験は、本学学際科学フロンティア研究所に所属していた元大学院生が行ったものだった。本学は具体的な調査が必要と判断し、調査委員会を設置して調査を開始した。



 調査の結果、実験結果を示す図の一部を切り貼りする、特定不正行為にあたる捏造・改ざんが認められた。同委員会は、同論文の筆頭著者の元大学院生が図を切り貼りしたと認めたため、不正行為は故意に行われたという結論に至った。また、当該元大学院生が本学大学院在学中に筆頭著者として作成した別の論文2編についても調査したところ、同様の不正行為が確認された。これを踏まえ、論文3編における不正行為の悪質性の程度は「高」と判断された。



不正の影響 中程度


 元助教は、当該論文が既にインターネット上で公開された後に撤回した。当該論文の掲載期間は3カ月弱で、被引用数は1回だったため、社会的影響は最小限に抑えられた。他2編の不正行為については、論文の結論に大きく影響するものではなく、研究分野における注目度も低かった。論文3編に対する総合的判断として、研究の進展への影響や社会的影響の大きさは「中」程度であると判断された。



研究倫理の軽視が原因


 本学は、不正の発生の一因は当該の元大学院生の研究不正に対する認識の甘さにあるとした。元大学院生は、切り貼りされた図が示されている結果は何度もの反復実験で確認されたものと同じであると主張した。これに対し本学は、元大学院生が、再現性のある結果を示すならばデータの切り貼りはある程度許容されると考えていたと推測されると判断した。そのような不十分な認識の要因の一つとして、当時生命科学研究科博士課程において必修でなかった研究倫理に関する講義を受けていなかったことを挙げた。その他に、元大学院生が所属していた研究室内のデータ管理体制にも問題があったとされ、データ保存への意識の不十分さが指摘された。



研究倫理教育の徹底へ


 本学は、調査により不正行為が認められた論文の取り下げを勧告した。生命科学研究科教授会では調査結果に基づき、当該元大学院生の博士の学位と課程修了の取り消しを決定した。



 本学は再発防止策として、指導的立場の研究者が直接的な確認を行うことや、他の研究者にも確認を行わせるといった、責任管理を果たす体制を作る取り組みを強化するとした。加えて、学部初年次から研究倫理教育の充実や、研究データの取り扱いや保存に関する指針と申し合わせの周知を実施する方針である。本学学生には今後、研究倫理を意識して研究に取り組んでほしい。

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