鳥人間 学生記録奪還で準V
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第45回鳥人間コンテスト2023が7月29日、琵琶湖湖畔(滋賀県彦根市)で行われ、人力プロペラ機部門にて本学学友会人力飛行部Windnauts(ウィンドノーツ)が準優勝を果たした。記録は42837.78メートル。連覇はかなわなかったものの約2時間にわたるビッグフライトを達成し、チーム記録および学生記録を更新した。
フライトを終え、「みんなの声が聞きたい」と言うパイロットに、部員らが「最高」と声を張りあげる。2008年以降学生記録を保持していた同部だが、19年にその記録を塗り替えられてしまった。以来、学生記録奪還は同部の悲願であった。
Windnautsの機体は安定したフライトを見せた |
スタート直前、緊張した様子のパイロットに、部員が「作った方も緊張してるんだよ」と笑いかける。午前6時、パイロットの岩田大地さん(工・3)の合図でスタートした機体は離陸時、尾翼がプラットホームにぶつかるトラブルに見舞われた。全体設計の小川和希さん(工・3)は「今年は例年より強度を落としている。もしあの時尾翼が折れていたらと思うと恐ろしい」と振り返る。しかし部員らの不安をよそに機体は安定したフライトを見せた。
大きめの翼に軽い機体。今年のコンセプトは「勝つ機体」で、パイロットの負担軽減を第一に作られた。同部史上最低クラスの機体速度にし、軽量化のため昨年よりも強度を下げている。プロペラを回すために必要な、パイロットの出力を小さくするための作戦だ。
既存の機体の改良ではなく、一から自分たちの代で作った機体を飛ばすのは3年ぶりになる。1993年から積み重ねた歴代の膨大なデータから、今年のパイロットの体重や出力に最適な機体バランスを算出した。制作班は昨年8月から毎日のように、時には日をまたいで作業した。コンテスト前日には現地入りし、会場で一晩中機体を組み立てた。
飛行中、コックピットの中の気温は約32度、風もほとんど入らない。岩田さんは操縦しながら、意識がもうろうとしたという。何度か機体が落ちそうになったがその度に持ち直した。「こんなに時間をかけて作ったものをすぐに壊すわけにはいかない」。名門校の看板以上に、仲間の頑張りを無駄にはできなかった。
今年のパイロットは2年次からの途中入部だった。全体代表の川人崇央さん(工・3)はパイロットの岩田さんについて「途中入部でもトレーニングを積めば記録は出せると証明された」と評し、次の代のパイロットへのエールとした。既に来年に向けた準備は始まっている。次の代も更なる記録更新と王座奪還を狙う。