【一言居士】 ―2024年受験生応援号―
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ヒトの赤ちゃんは1歳前後になると、興味を持った対象について他者と感情を共有するために「あれを見て」、「あそこにワンワンがいるよ」などと対象を指さすようになる。この行動は「叙述の指さし」といわれる▼昨年12月、「現代用語の基礎知識選2023ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞に「アレ(A・R・E)」が選ばれた。阪神タイガースの岡田彰布監督が「優勝」の隠語としてスローガンに掲げた言葉だ▼スローガン通り、阪神は18年ぶりのリーグ優勝と、38年ぶりの日本シリーズで優勝を果たした。SNSのタイムラインには「アレ」という言葉と共に、悲願達成を喜ぶ投稿があふれていた▼ふと、大学の講義で扱われていた「叙述の指さし」を思い出した。ヒトに固有で、コミュニケーションの基盤となる行動である▼もちろん、隠語としての「アレ」は、指示代名詞しての「あれ」とは役割も使われる状況も全く異なる。だが、同じものに対する喜びを他者と言葉で共有できるのは、われわれが幼少期に「叙述の指さし」をしていたからであろう▼目標達成のために長い間努力し続けてきたのは、阪神だけではなく受験生も同じだ。自分自身にとっての「アレ」を達成できるよう、応援している。
(文責・上野)