【学祭】模擬店価格調査 店ごとにばらつき
10月25日から3日間にわたり開催された東北大学祭には、多くの模擬店が軒を連ねた。学生が創意を凝らし、多種多様な商品が並んだが、その価格はいったいどのようになっているのだろうか。模擬店を巡り、商品の価格調査を実施した。
今年は合計62店舗が出店。商品総数は199商品に上った。これらの分類ごとに平均価格とその散らばりを表す指標である標準偏差を求めた。ドリンクの平均価格や標準偏差が他の分類と比べてかなり大きい。実際500円以上の価格で販売されたドリンクは2商品のみであり、この平均値がデータの実態を十分に反映していない可能性がある。このため外れ値(極端な値)除外の処理を行い、 刈込平均と刈込標準偏差を求めた。この結果、より実態に即した価格傾向が見えてきた。
また、ドリンクの比較対象として東北大学川内キャンパス内に設置されている自動販売機9台の飲料価格を参考にした。自販機の清涼飲料は高くても150円程度であり、模擬店で清涼飲料をそのまま販売すると薄利多売を求められ、競合する可能性が高い。また、飲料の量を増やして付加価値を出そうとしても、持ち運びの利便性で自販機に劣るため、地下鉄で訪れる客が多い東北大学祭においてはかえって購買意欲を削ぐ恐れがある。一方、トッピングや具による付加価値を高めた飲料は300円程度とやや高価ではあるが、自販機にはない商品となるため競合を回避することができると考えられる。
全体を俯瞰すると、定番商品の価格設定は500円が一つの上限だと考えられる。今回の調査で外れ値とならない上限は575円であり、それを超えると特別な付加価値がない限り客は購入を控えると予想される。
今回の調査では模擬店の商品価格には予想以上に開きがあることが確認できた。また、確率的に価格が変動する場合もあったが、今回は確率がわかるものは各価格帯の商品数を期待値で、確率が不明なものは各価格帯の商品数を加算平均で処理した。今後も継続して模擬店の価格調査を行い、商品数や価格の推移を追うことで、一時的な分析にとどまらず、時間軸からの分析や団体ごとの価格・商品の推移を調査・分析していきたい。(竹室斉紘)