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MT免許取得に逆風 新制度が思わぬ壁に

 本年4月から、普通車免許の教習カリキュラムが大きく変更された。従来は、オートマ(AT)限定のない免許[以降、マニュアル(MT)免許と呼称する]を取得する場合、最初から最後までAT車で教習を受けることができた。しかし変更後は、AT免許を目指す場合でも、最初の段階では全てAT車で教習を受けることになり、その後「AT限定解除教習」(4時限)を受けなければならない仕組みに変わったのである。

 AT車が普及した現代において、AT限定免許だけで十分と考える人には特に不都合はない。しかし、私のようにMT車を運転したい人にとっては、制度変更により思わぬ不利益が生じている。

 私自身が免許を取得する際に最も苦労したのは、教習の予約だった。私は「スケジュールコース」と呼ばれる、最初に全ての予約を組んでしまうプランを選んでいた。これにより本来なら効率よく教習を進められるはずだった。しかし問題は、最初の段階ではAT限定解除の予約が取れなかったことだ。私の通っていた教習所は人気が高く、予約は常に1カ月先まで埋まっていた。そのため、AT車の教習を全て修了してからも、限定解除に進むまでに3週間近く待たされる羽目になった。わずか4時限しかない教習のために、である。結果として、部活動の合宿前に免許を取得するという私の計画は、あえなく頓挫してしまった。

 さらに、限定解除が4時限しかないこと自体も大きな課題だった。200分という短い時間で、仮免許取得水準に匹敵するMT車の運転技能を身につけねばならないのだ。クラッチ操作や坂道発進は想像以上に難しく、限定解除修了検定に一発で合格することは不可能に近いと感じた。幸い3限目に対応してくれた教官のアドバイスが自分に合っていたため、息をするようにエンストしてしまうような状態からは脱出。そして、最低限の技能を習得できた私は、なんとか検定に一発で合格することができた。とはいえ、検定の坂道発進では2回エンストし、冷や汗をかいたことを今でも覚えている。

 なお、制度の関係上、MT車で路上教習を受ける機会は一度もなかった。そのため、免許を取得して実際に公道を走行した際、坂道発進に失敗し、後続車に迷惑をかけてしまった経験がある。制度変更により、実践的な練習機会が大幅に減ってしまったことは否めないだろう。

 AT車が主流となった今、MT免許を「絶対に必要」とする人は少ないかもしれない。しかし、将来MT車に乗りたいと考える学生や、自動車関連の職業を志す人にとって、この制度変更は看過できない課題をはらんでいる。これから免許を取ろうと考えている人は、ぜひこうした現実を知った上で、自分に合った免許取得プランを選んでほしい。   (岡崎陸斗)

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