【図書館】付属図書館企画展 川内の出土品ずらり
本学川内キャンパス内の発掘調査により出土した遺物約170点を一堂に展示する企画展「わたしたち、ここにいました~川内キャンパスの足元に眠る遺跡を辿って~」が先月18日、本学附属図書館本館で始まった。監修は本学埋蔵文化財調査室の菅野智則特任准教授。附属図書館の企画展は例年、図書館所蔵資料を中心に構成されるが、今年は同室と共催する。江戸時代の出土品を中心に、戦後から縄文・弥生時代まで各時代の多種多様な生活用品が展示される。菅野特任准教授は、「今回は展示品の数に特化した。その中から好きな一品を見つけてほしい」と話す。
展示は「近代」「近世」「近世以前」の三つのセクションに分かれる。近代セクションでは、旧陸軍第二師団や米軍の駐留キャンプに関わる遺物が展示される。拳銃や軍靴などの軍用品や「第一中隊」と書かれた木札から、当時の雰囲気がうかがえる。近世セクションには、多数の陶磁器のほか、動物を模した土人形や建物をかたどった箱庭道具が並ぶ。子どもの玩具や縁起物などとして扱われていたと推測されている。近世以前のセクションには、仙台藩のみで流通していた仙臺通寳も含め、永楽通寳等のさまざまな古銭が展示される。なかでも仙臺通寳は鉄製なのでさびやすく、発掘調査で確認されることは少ない。シカやウマの骨のほか石器や弥生土器なども展示される。
これらの資料の一部は東北大学総合知デジタル・アーカイブ(ToUDA)にて公開されている。3次元データも公開予定で、今回の展示にはタッチパネルも設置。来場者は、好きな角度から見ることができる。
加えて会場には、貨幣の製造過程を描いた「御用鋳銭場図絵」など、附属図書館が所蔵する資料もパネル展示される。出土品にちなんで江戸時代の様子をうかがえる資料などから知識を深められる作りだ。
本企画展に携わった埋蔵文化財調査室は現在、発掘調査に加えて出土遺物の整理作業や報告書の刊行などを行っている。1983年に埋蔵文化財調査委員会が設置されて以降、数回の改組を経て今の形となった。これまで発掘調査してきたのは、キャンパス内の34地点。これほどの遺跡が調査、保存されてきた背景には、本学の存在が大きい。
附属図書館貴重書係長の小野寺毅さんは「本学の学生や教職員はもちろん、仙台市民の方々にも見てほしい」としつつ「会場である図書館の下は、まさに仙台城の二の丸があった場所。実際に過去の人々の生活があったことを感じながら見てもらえたら」と語った。
会場はエントランスホール展示コーナー。来月21日まで、平日は午前8時~午後10時、土日祝は午前10時から午後10時。入場料無料。