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キャンパスの歴史を巡るツアー 川内で初めて実施

  東北大学118周年ホームカミングデーが先月11日、川内萩ホール(川内南キャンパス)で開催された。関連企画の川内キャンパスツアーには、本学卒業生のほか、近隣地域や遠くは県外の人も参加し、川内キャンパスの歴史を知れた。例年は、本学発祥の地である片平キャンパスを中心にツアーを実施していたが、川内キャンパスでの実施は今回が初めて。ツアーに参加し、本キャンパスの歴史について話を聞いた。(聞き手は小宮正希)

 ツアーは、川内萩ホールに常設の「川内キャンパスの歴史を語るパネル展」を皮切りに、キャンパス内の仙台城跡地などを巡った。常設展には、縄文土器、奈良時代の瓦などの出土品や、戦時中の物品を展示している。旧陸軍第二師団が置かれ「軍都」仙台の中核だったこともうかがえる。以前本学にあった教養部(現在の全学教育に教養教育が引き継がれる形で廃止された)の表札も展示されている。当時の学生時代を懐かしむ参加者の姿も見られた。

 川内キャンパスは、ほぼ全域が江戸時代の仙台城二の丸と周辺の武家屋敷に相当し、遺跡として登録されている。萩ホール近くの石垣は、そうした時代背景を表象している。萩ホール周辺の土地に関しては、所有権が入り乱れ、県と市との協定から大学が施設を造る際に柵が設けられないことになっている。案内人の藤澤敦教授は、大学のオープンな雰囲気が象徴されていると語った。本学の理念の一つである「門戸開放」の精神が表れているようだ。


千貫橋水落石垣。キャンパスの南北をつなぐ道路の沢にあり、
江戸時代の様子が伝わる(右)藤澤教授の案内に耳を傾ける参加者たち(上)

 その後、大手門の跡地に、ツアーは歩みを進めた。大手門は、江戸時代を通し、仙台城の正門として存続していた。1931年には大手門と大手門脇櫓が国宝に指定されたが、1945年の仙台空襲によって焼失している。大手門の復元には、図面、建物の写真、位置の特定が必要だ。発掘調査によって、大手門の礎石跡などが見つかり、もともとの位置の特定が進んでいるという。遠い過去の歴史の実体が、現在の情熱によりよみがえることに期待を寄せたい。

 続いて、千貫橋水落石垣を訪ねた。南キャンパスに北側から入る道路の沢を渡るところにある。二の丸造営時に土橋で沢が遮られ堀が造られた。江戸時代の様子を残す数少ない場所だ。うっそうとした竹林を整備し、きれいな景観が保持されている。石垣から水が流れ、静かにその美しさをたたえている。

 藤澤教授は「古代から明治、戦争を経て、時代を示すものが重層的にあるのは、川内キャンパスの歴史の特徴」であるとし「このツアーを通して参加者の皆さんにはまだ知られていない価値を知ってほしいという思いがあった。なにより川内キャンパスには知ってもらうだけの魅力がある」と話した。

 キャンパスは学生生活を共にする場所だ。キャンパスが持つ歴史的背景を学べる機会を活用し、地域のイベントとして大学を支える輪を広げていく。時を超え、先輩方と同じキャンパスで学んでいることを誇らしく感じた。

 案内人の藤澤教授は、今回のツアーを通して「歴史を知ることの楽しさを伝えるだけでなく、キャンパスへの愛着を醸成していけたら」と期待を示し「大学やキャンパスの広い意味での応援団を増やしていきたい」と話した。

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