読み込み中

【生命科学研究科】高水準の博士課程充足率

  国や企業で博士人材の需要が高まる中、その育成には博士後期課程への進学者拡大が不可欠だ。本学大学院の中でも、高い博士後期課程の充足率を誇る生命科学研究科は充足率向上に向けどのような取り組みをしてきたのだろうか。同研究科のキャリア支援委員を務める佐藤修正教授に話を聞いた。

(聞き手は新村輝海)




▼現在と過去の充足率

 今年度、生命科学研究科の博士課程後期の充足率は130%を超えた。直近3年間においても安定して100%を超える高い水準を維持している。


 同研究科は2010年代、特に東日本大震災後は、社会全体の経済的・心理的な余裕の減少を背景に、博士後期課程への進学者が少なく、定員割れにより大学から予算を削減されていた。しかし現在では、定員超過によるペナルティーが懸念されるまでに充足率が改善された。


▼博士就職難という迷信

 当時の充足率低迷の原因として、学生に根強く存在していた「博士後期課程に進むと、アカデミアにしか道がない」という迷信もあったと佐藤教授は話す。これに対し、生命科学研究科が企業にヒアリングを実施したところ「0から1を生み出すポテンシャルを持つ博士人材は不可欠であり、積極的に採用したい」という声があったという。


 こうしたミスマッチを解消すべく同研究科は独自のキャリア支援を実施することとなった。2014年のテストを経て、翌年より本格的なマッチングイベントを始動した。4年間継続されたこの取り組みは、後に工学研究科の主導を経て、全学レベルへと拡大した「博士人材キャリアデベロップメントセンター(PhDC)」による全学イベントの先駆けとなった。


▼独自のキャリア相談

 充足率向上に大きく貢献した取り組みとして、キャリア支援を専門とする生命科学研究科の増沢隆太特任教授による「月例の個別のキャリア相談」の開始が挙げられると佐藤教授は振り返る。


 キャリア相談により、進学と就職の選択を悩む修士学生に対し、オンラインで気軽にアクセスできる窓口を提供できるようになった。さらに毎年6月には、同研究科に進学した博士学生を対象として「必ず1回は増沢特任教授と面談を行う」というシステムを導入した。佐藤教授は「専属教員によるキャリア相談は他研究科では見られない明確な強みだ」と話す。


▼時代の後押しも

 これらの独自の取り組みに加え、バイオエコノミーの台頭や全学レベルでの博士学生向け経済支援が整備されたことも、充足率向上へ大きく寄与した。しかし、経済支援自体は他研究科も同様なため、生命科学研究科の突出した充足率の要因は、独自の伴走型キャリア支援の有無に求められる。

さとう・しゅうせい

本学生命科学研究科教授。専門はゲノム構造機能学。

2019年より同研究科のキャリア支援委員。

▼博士学生の存在感

 「博士学生の増加は単なる数値目標にとどまらず、研究室の環境に健全な好循環をもたらす」と教授は説明する。研究室内に複数の博士学生が存在することで、教員が介在せずとも学生間で日常的なディスカッションが自然に形成されるようになる。


 佐藤教授は研究室に博士学生がいる利点として「身近な博士学生は、後輩にとって明確なロールモデルとなり、博士学生の定着率の高さに直結する」と指摘する。


 今後について佐藤教授は「定員増も視野に入れて、定員超過によるペナルティーへの対応を検討することで、学びを渇望する学生を、制限を設けることなく受け入れたいと考えている」と話す。学生が狭い世界にとらわれず、高い視座から主体的なキャリアを形成できるように今後も継続して支援していく。

博士 6245974496838554568
ホーム item

報道部へ入部を希望する方へ

 報道部への入部は、多くの人に見られる文章を書いてみたい、メディアについて知りたい、多くの社会人の方と会ってみたい、楽しい仲間と巡り合いたい、どんな動機でも大丈夫です。ご連絡は、本ホームページやTwitterまでお寄せください。

Twitter

Random Posts