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【連載・津波被災地を走る】⑤石巻市~南三陸町

 ヒーロー見参!!

 11月中旬の金曜日、石巻駅に降り立ちました。
 仙台駅から小牛田駅で乗り継げば、1時間半ほどの距離です。
 改札口でも石ノ森キャラクターがお出迎え(前回参照)。
 これから始まる2日間の長旅を前に、心がほっこりと和みます。

 津波被災地を走る第5回、第6回は、2日間で石巻市から気仙沼市までを一気に北上します。
 第5回の今回は、1日目の石巻市から南三陸町をお送りします。


 石巻市から女川町経由で南三陸町へ行くとなると、寄り道をしなくても70kmもの距離があります。
 途中でスタミナ切れしないよう、市内のパン屋「萬楽堂」でエネルギー補給です。



 石巻名物という「黄金ごまゆべし」と三色団子を購入。
 「前日の残り物で申し訳ないけど…」と、ジャムパンをサービスして下さいました。


 「これも持っていきなさい」と石巻市内のガイドマップまで。
 本当に頭が下がります。

 前回紹介した石ノ森萬画館を横目に、女川町を目指します。

・女川町


 女川町の中心部は、石巻市から「女川街道」と呼ばれる国道398号線を西へ約15km進んだ場所にあります。


 ちょうど女川町に入ったところで、「マリンパル女川 おさかな市場」と書かれた看板を見つけました。


 




 どうやら、海の幸を扱う市場のようです。                                                                           
 







 それにしても、店の前に立て掛けてある「女川名物 ほやチンコ」とは一体…!?

 








中に入ってみると、6店舗が新鮮な魚介類や女川ならではの加工品を販売していました。








 朝どりの新鮮な魚介類が浜の価格で売られています。
 




立ち寄ったのはこちら、有限会社兼宮(かねみや)商店さんです。


 女川の海で今朝採れたばかりのカキとムール貝を、その場で食べることができます。
 屋外のベンチで待っていると、店員の宮元なつえさんが、焼きたて、蒸したての料理を運んできてくれました。
 目の前に広がる海をバックにいただきます。


 女川産のカキは、松島のカキに比べてかなり大振り。
 焼き加減も絶妙で、クリーミーで濃厚な身が口の中でとろけていきます。
 続いて蒸したてのムール貝を口に運ぶと、強烈な旨味に絶句!

 筆者「いったい、どうやって味付けしたんですか!?」
 宮元さん「塩と胡椒、それからオリーブオイルだけさ。本当にいい素材は、余計な手間をかける必要なんてない。都会では絶対に食べられない味だよ!」


 「この海は万石浦という名で、波が立たななくて貝の養殖にピッタリな場所なんだよ」
 宮元さんが親身になって説明して下さいました。

 ここマリンピア女川おさかな市場は、震災前まで町の中心部にあったのだそうです。
 しかし、2011年の津波で建物が損壊。
 同年10月に現在の場所に移転し、営業を続けているとのことです。
 「私たち兼宮商店は、来年の秋に町の中心部でかき小屋をオープンする予定なんだ。また遊びに来てね!」と宮元さん。
 こんなに美味しいかきをいただけるのであれば、何度でも伺います!

 別れ際に、尋ねてみました。
 「お店の前に立っている、『ほやチンコ』ってなんですか?」
 「ああこれね。女川町では毎年5月に特産品のほやのお祭りが開かれるんだよ。そこでホヤをパチンコの玉として使い、入った穴に合わせて景品を進呈するゲームをやるんだ。ホヤのパチンコだから『ほやチンコ』。ほや祭りにも来てね!」
 なるほど、納得しました。

 女川町の中心部に入りました。


 

 震源地に最も近かったこの町は、15メートル近くの巨大津波に飲まれました。
 









女川港に面する工業地や女川駅、女川町役場周辺は跡形もありません。

 





 町では大規模な復旧工事が進められています。
 道路を行き交う重機の後に、砂埃が舞います。


 下の写真に横たわる建物は、かつて交番だったそうです。



 左奥に見える白い屋根は、現在建設中のJR女川駅。
 来年春の開業を見据えているとのことです。

 




そんな中心部に、街づくりに関する情報交流館がありました。


 







 女川町の復興の歩みやこれからの展望を図解しています。






 漁港では、空に大量のカラスが飛んでいます。


 港に近づいて納得。魚の水揚げが行われていました。
 カラスの狙いは魚のおこぼれのようです。


イナダでしょうか。サバも混ざっているようです。    
     
 


 水揚げされた魚が大きさごとに異なるケースへ分類されていきます。
 漁師さんの威勢のいい掛け声が港に響きます。



 

 女川港は全国有数のサンマの水揚げ量を誇っています。
 サンマの水揚げは見られませんでしたが、店頭に並ぶサンマの多くはここで揚がっているのですね。



・女川原子力発電所


 女川町の牡鹿半島の中ほどに、女川原発があります。
 町の中心部から県道41号線を15kmほど走り、女川原発に併設されている「女川原発PRセンター」に到着しました。
 (※道中は勾配が大きいです。自転車で行くことはおすすめしません…!)


 
 ここでは模型やパネル、映像を通して原子力発電所の仕組みを紹介しています。

 


 また、福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、社会的な関心が高い放射能についても解説しています。




 


 この日は仙台からの団体客がガイドツアーに参加していました。
 事前に予約をすれば、職員による説明を聞きながら館内を回ることができます。

 



 こちらは震度6弱までの揺れを体験できるコーナーです。



 固い地盤と柔らかい地盤の2種類の揺れを比較できます。
 原発が建てられているのは固い地盤。安全性をPRしているのです。

 周知のとおり、女川原発の再稼働を巡っては、住民の意見が割れています。
 東北電力は2016年春以降の再稼働を目指していますが、自治体や国、住民との間で合意がなされていない状況です。
 十分な議論を尽くしたベターな決断が求められています。

・いざ、南三陸町へ


 さて、女川原発PRセンターを後にし、南三陸町へ向かいます。
 町の中心部から南三陸町への距離はなんと60km!原発からだと75kmも離れています。
 長丁場を前に腹ごしらえといたしましょう。
 原発から町の中心部に至る県道41号線上に、プレハブの食堂「活魚ニューこのり」を見つけました。


 店名の通り海鮮系のメニューが充実しています。
 しかし、筆者が注目したのは「女川カレー」です。


 お店の方によると、女川カレーは震災後の炊き出しで提供されていたカレーを再現したものとのこと。
 町内の10店舗が「復興カレー」として提供し、町興しに一躍買っているといいます。
 特に定義はありませんが、どの店も町が製造したスパイスを使っているそうです。


 こちらのお店ではスープカレーを出しています。
 野菜の優しい甘みが特徴のスープの上に、カキの天ぷらと蒸したムール貝。
 この一杯に、女川の海の味が凝縮されています!
 辛みは控えめで、これなら老若男女が安心して食べられます。
 身体も心も温めるカレーとして、女川カレーが全国に広まることを切に願います。

 お腹も満たされたところで、国道398号線の北上を開始!
 すでに日が傾いています。
 道中は街灯が少ないと伺っているので、早急に到着したいところ…。


 女川町を抜けるまでに、100台以上の大型トラックとすれ違いました。
 地盤沈下した土地をかさ上げするために、土を運んでいるのです。
                     
 夕日を拝み…


 漁港を横切り…


 休憩をはさみながら、自転車をこぎ続けること4時間…(石巻市のパン屋でサービスしていただいたジャムパンです!)


 ようやく南三陸町にたどり着きました。
 夜空には無数の星々。天の川がはっきりと確認できるほど、輝きを放っています。
 そして、道路脇には高さ3mほどの巨大なモアイ像が…。一体どうしてこんなところに?


 町は漆黒の闇に包まれているため、中心部の視察は翌日にすることにします。

 


 本日の宿は、入谷地区にある「学びの里 いりやど」です。
 一般宿泊のほか、会議、研修なども行うことができる宿泊研修施設となっています。



 


 
 玄関にもモアイ像が! 南三陸町とどのような関係があるのでしょうか。
 





 本日およそ100kmの走行を終え、疲労はピーク。布団に入るやいなや、眠りに落ちました。
                       
 2日目の明日は、いよいよ本企画最後の走行です。
 目的地は宮城県最北端の気仙沼市。そして明かされるモアイ像の謎…!

 第6回に続きます。

 (文責:立田)
津波被災地を走る 4912310803687059537
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