【研究成果】ヒスチジン摂取、不安改善に効果 -新薬・サプリの開発に期待-
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本学大学院医学系研究科の谷内一彦教授らの研究グループは、食事によるヒスチジン摂取が充分でないと脳内ヒスタミン不足を生じ、その結果マウスでは不安様行動が増加することを明らかにした。ヒスタミンは、アレルギーの原因物質と考えられており、そのヒスタミンを合成する必須アミノ酸の一種であるヒスチジンも、一般的に良いイメージを抱かれてこなかった。しかし、今回の研究成果により、脳内ヒスタミン不足が不安様行動(図)に繋がることが判明。研究結果により、ヒスタミンやヒスチジンが含まれているかつお、まぐろ等の魚肉摂取の重要性が見直されることに繋がる。
実験では、通常の食事を与えられたマウスAと、とうもろこし等の25%程ヒスチジン含有量を減少させた食事を与えられたマウスBの行動を比較した。
通常、開けた場所や明るい場所がマウスは苦手であるが、低ヒスチジン食を与えられたマウスBの方が、そういった苦手な場所をはるかに嫌う傾向にあるという結果になった。マウスBの場合は数週間程度で不安様行動の効果が表れ始める。「まだ研究段階であるが、人間でもほぼ同じ結果になるだろう」と谷内教授は語った。
欧米では同じ不安に関係する物質である脳内セロトニンに関する研究が数多く存在し、脳内ヒスタミンに関してはあまり研究されてこなかった。そのため、脳内ヒスタミンの原料となるヒスチジンの機能解明も遅れている。脳内モノアミン神経系(*)の中でもヒスタミン神経系の発見が、他のものと比べて最も遅くなったことが原因と考えられる。その結果、ヒスチジンのサプリメントはまだ開発されていない。
今後としては、ヒスチジン含有化合物の創薬やサプリメントの開発が期待される。マウスと同様の実験を行おうとすると、食事の全てを管理しなければならないので難しく、人を対象とした研究はまだ行えていない。しかし、サプリメントが開発されれば、それを使用して食事分の栄養を補えるので、ヒトの脳活動や精神疾患にヒスチジンがどのような効果を生むのか研究することも可能になる。「サプリメント開発により、さらにヒスチジンに関連した研究は発展していく」と教授は語った。
(*)ドパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニン、ヒスタミンなどを遊離する神経系の総称でうつ病などの精神疾患に関係する。
実験では、通常の食事を与えられたマウスAと、とうもろこし等の25%程ヒスチジン含有量を減少させた食事を与えられたマウスBの行動を比較した。
通常、開けた場所や明るい場所がマウスは苦手であるが、低ヒスチジン食を与えられたマウスBの方が、そういった苦手な場所をはるかに嫌う傾向にあるという結果になった。マウスBの場合は数週間程度で不安様行動の効果が表れ始める。「まだ研究段階であるが、人間でもほぼ同じ結果になるだろう」と谷内教授は語った。
欧米では同じ不安に関係する物質である脳内セロトニンに関する研究が数多く存在し、脳内ヒスタミンに関してはあまり研究されてこなかった。そのため、脳内ヒスタミンの原料となるヒスチジンの機能解明も遅れている。脳内モノアミン神経系(*)の中でもヒスタミン神経系の発見が、他のものと比べて最も遅くなったことが原因と考えられる。その結果、ヒスチジンのサプリメントはまだ開発されていない。
今後としては、ヒスチジン含有化合物の創薬やサプリメントの開発が期待される。マウスと同様の実験を行おうとすると、食事の全てを管理しなければならないので難しく、人を対象とした研究はまだ行えていない。しかし、サプリメントが開発されれば、それを使用して食事分の栄養を補えるので、ヒトの脳活動や精神疾患にヒスチジンがどのような効果を生むのか研究することも可能になる。「サプリメント開発により、さらにヒスチジンに関連した研究は発展していく」と教授は語った。
(*)ドパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニン、ヒスタミンなどを遊離する神経系の総称でうつ病などの精神疾患に関係する。