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【ネタ記事】真冬の海水浴 ~気合で季節を乗り越えろ!~


 夏が好きだ。春や秋、冬も良いが、夏がとりわけ好きだ。炎天下に蝉の合唱をかいくぐり、冷房の効いた屋内へ入ったときの、あの静けさと清涼感が好きだ。暑さも和らぐ夕暮れ時、一陣の風が運ぶ涼しさに秋の気配を感じながらヒグラシの声を聴くのも素晴らしい。そして、夏といえば何といっても海水浴だろう。もう今すぐにでも海に行きたい、はしゃぎまわりたい――。ところが、カレンダーに目をやるとまだまだ冬の真最中だ。夏の到来まではあと半年以上かかる。常識的に考えればここで諦め、夏が来るまで我慢するだろう。しかし我々は違った。「今を夏だと思い込めば良い。そうすれば冬でも海水浴ができる」という根性論に基づき、真冬の海水浴企画が実現した。心頭を滅却すれば火もまた涼し。こうして、冬の海に行くことを決定したのだった。

 12月28日。N、Y、Uそして筆者の4人は神奈川県鎌倉市、江の島付近の海岸にいた。そう、テレビ等でお馴染みのあの湘南のビーチだ。天気は晴れ、気温は10℃に届かない程度という、海水浴にはもってこいのコンディションである……。ただ一点、思いのほか人が多かったことを除けば。江の島に近いためか、観光客と思しき人々が海岸での散策を楽しんでいるではないか。この状況で海に入れば、もれなく我々は「気を違えた若者」に認定されるだろう。最悪の場合、警察のお世話になるかもわからない。だが、そんなことを気にするほどヤワなメンタルは生憎持ち合わせていない。考えるな、感じろ!という訳で、我々は早速服を脱いで水着に着替える。段々とテンションが上がってきた我々は海に向かって駆け出し、その勢いでダイヴ!「ンヒィッ」普通に冷たい。しかしここは気合と根性でゴリ押し。慣れたところで、お互いに海水を掛け合う。「やりやがったなこの野郎ッ!」奇声や怒号が飛び交う中、水飛沫の応酬が繰り広げられる。手足の感覚が薄れ、鼻水が出てきたが気にしない。次は飛沫をあげながら砂浜をダッシュ!我々は確信した。これはもう夏だ、間違いない。まさに思い描いていた青春の1ページを謳歌していた我々は、周囲の人々から注がれる視線が明らかに「ヤバいヤツら」に向けられるものだったなどとは露知らず、思う存分海水浴を満喫した。
 ひとしきり楽しんだ我々は、アイスを食べながら休憩を取ることにした。一口齧っただけでもう頭痛が襲ってきた。手が震えてアイスを上手く持つこともできない。おかしいなぁ、今は夏のはずなのに。寒さを感じるなどありえない。ノロノロとアイスを食べ進めていると、事件は起こった。上空から鳶がアイスを狙って奇襲を仕掛けてきたのだ。Nのアイスが犠牲になり、不運(ハードラック)と踊(ダンス)ってしまったことを除けば、非常に楽しい海水浴であった。充実感と疲労感に包まれながら、我々は海岸を後にした。やっぱり海はサイコーだぜ!


 ※本文ではあたかも「真冬の海水浴は楽しく素晴らしいもの」のように書かれていますが、実際は非常に寒い思いをしました。絶対に真似はしないでください。もし行う場合は、鳶にはお気を付けください。
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