「南アジアにおける表象と身体」 ~インドの民俗 日本で紹介~
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シンポジウム「南アジア(インド)における表象と身体」が先月26日に本学川内北キャンパスマルチメディアホールにて行われた。今回のシンポジウムは日本南アジア学会設立30周年を記念して開催されたもの。会場には幅広い年代の人々が集まり、大きな賑わいを見せた。
冒頭、国際文化研究科の山下博司教授が、上半身裸の状態で紐のようなものを数本肩にかけている男性たちの姿をスライドで紹介。山下教授によると、ヒンドゥー教のバラモンたちの間では、この紐の数によって帰属や人生の段階が分かるという。こうした例をもとに、インドの宗教文化には、豊かなシンボリズムが隠されているとして問題提起した。
シンポジウムは二部構成。第1部では「〈ヨーガ〉から〈YOGA〉へ――ヨガの歩みと現在――」と題し、インドにおけるヨーガの思想とその実践の歴史について発表が行われた。現代では、ヨーガはエクササイズとして広く一般に親しまれている。だが本来ヨーガはインドの宗教的実践で、時代的に古典ヨーガとハタ・ヨーガに分類されるという。近現代のヨーガをめぐっては別の登壇者が発表。ヨーガの近現代における重要な指導者らを紹介した。また、インド政府認定のヨーガの高等教育機関での調査結果を報告した。インド国内だけでなく、日本や中国などからの留学生も増えているという報告に、会場は興味深げに耳を傾けていた。
第2部の題は「聖と俗をめぐる音と光――舞踊、音楽、メディア――」。南インド古典舞踊の実演が行われ、会場はインドの民族文化の雰囲気に包まれた。題材はヒンドゥー教における神クリシュナとその恋人ラーダーにまつわる抒情詩。舞踊家は身体の動きで場面や登場人物の感情を表現した。会場内に響き渡る歌とパーカッションに合わせてエネルギッシュな舞が披露され、終了時には大きな拍手が巻き起こった。
実演の後には、インドの民族神の祭りにおける神霊イメージの多用について、フィールドワークをもとにした発表が行われた。南インドのケーララ州北部で信仰されているテイヤム神が、時代の潮流に合わせ、半ばなし崩し的にポップ・カルチャー化している現実が伝えられると、会場内からは質問が飛び交った。
最後の報告は、日本でも馴染みのあるインド映画に関するものだった。まず、インド映画の従来のイメージである、非日常的で歌・踊り・恋愛の三つ組み、という定型はインドの厳しい社会状況からの逃避を助けるという役割を担っていたと指摘。その上で、最近のインド映画には必ずしもその形がとられていないことが観察できるとし、締めくくった。
1部・2部を合わせて5人の研究者が登壇した。適宜行われた質疑応答の場面では、活発に手が挙がり、休憩時間中でも参加者たちの間で盛んに意見交換がなされるなど、会場は盛況のうちに終わった。古代から現代にわたるインド独特の民族文化を、「表象」と「身体」いう観点から学ぶことのできる貴重なシンポジウムとなった。
冒頭、国際文化研究科の山下博司教授が、上半身裸の状態で紐のようなものを数本肩にかけている男性たちの姿をスライドで紹介。山下教授によると、ヒンドゥー教のバラモンたちの間では、この紐の数によって帰属や人生の段階が分かるという。こうした例をもとに、インドの宗教文化には、豊かなシンボリズムが隠されているとして問題提起した。
シンポジウムは二部構成。第1部では「〈ヨーガ〉から〈YOGA〉へ――ヨガの歩みと現在――」と題し、インドにおけるヨーガの思想とその実践の歴史について発表が行われた。現代では、ヨーガはエクササイズとして広く一般に親しまれている。だが本来ヨーガはインドの宗教的実践で、時代的に古典ヨーガとハタ・ヨーガに分類されるという。近現代のヨーガをめぐっては別の登壇者が発表。ヨーガの近現代における重要な指導者らを紹介した。また、インド政府認定のヨーガの高等教育機関での調査結果を報告した。インド国内だけでなく、日本や中国などからの留学生も増えているという報告に、会場は興味深げに耳を傾けていた。
第2部の題は「聖と俗をめぐる音と光――舞踊、音楽、メディア――」。南インド古典舞踊の実演が行われ、会場はインドの民族文化の雰囲気に包まれた。題材はヒンドゥー教における神クリシュナとその恋人ラーダーにまつわる抒情詩。舞踊家は身体の動きで場面や登場人物の感情を表現した。会場内に響き渡る歌とパーカッションに合わせてエネルギッシュな舞が披露され、終了時には大きな拍手が巻き起こった。
実演の後には、インドの民族神の祭りにおける神霊イメージの多用について、フィールドワークをもとにした発表が行われた。南インドのケーララ州北部で信仰されているテイヤム神が、時代の潮流に合わせ、半ばなし崩し的にポップ・カルチャー化している現実が伝えられると、会場内からは質問が飛び交った。
最後の報告は、日本でも馴染みのあるインド映画に関するものだった。まず、インド映画の従来のイメージである、非日常的で歌・踊り・恋愛の三つ組み、という定型はインドの厳しい社会状況からの逃避を助けるという役割を担っていたと指摘。その上で、最近のインド映画には必ずしもその形がとられていないことが観察できるとし、締めくくった。
1部・2部を合わせて5人の研究者が登壇した。適宜行われた質疑応答の場面では、活発に手が挙がり、休憩時間中でも参加者たちの間で盛んに意見交換がなされるなど、会場は盛況のうちに終わった。古代から現代にわたるインド独特の民族文化を、「表象」と「身体」いう観点から学ぶことのできる貴重なシンポジウムとなった。