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【書評】『考え方の教室』 齋藤孝 岩波新書

 授業やアルバイトの面接、入社試験などのさまざまな場面で「○○に対してあなたはどう思いますか?」という、自分の意見や発想を問う質問をされることは多いだろう。そのような質問をされたとき、あなたは当意即妙な答えを思いつき、話すことができるだろうか。もし「自分はアイデアを生み出したり、考えを発信したりするのが苦手かもしれない……」と思ったならば、ぜひこの『考え方の教室』を手に取ってみてほしい。


 本書の著者は教育学者の齋藤孝氏。本書は全部で16回の「教室」に分けられ、それぞれにテーマが設けられている。一つ一つの「教室」を読み進めていくことで、少しずつ「考える力」を身に付けていく、というのが本書の狙いだ。著者は大学で実際に授業を行っているため、特に大学生に読んでほしい内容だ。

 まず、「『解決』ではなく『整理』から」や「トライアル・アンド・エラーの精神で」など、考えたり計画を実行したりすることに抵抗をなくすことから始めていく。そして最終的には「身体の方向を相手に向ける」や「大事なことをゆっくり話す」などの、深い話し合いをするための心構えを身に付けることを目指していく、という流れだ。

 「自分と異質なものに出会ったときに、それをいったん理解した上で、何かしらのアイデアでその人との間に橋を架けることができるかどうか」という言葉が特に印象に残った。話し合いをし、そこで得た相手の考えを自分の考えにフィードバックさせていく。討論が多い大学での学びにおいても重要な姿勢だ。

 各回の最初には「人間関係を図で書いてみよう」などの〈今日のレッスン〉が設けられており、その回の内容にスムーズに入っていけるようになっている。一つ一つの回を短くすることで、普段本を読まない人でも飽きずに読み切ることができるように工夫がされている。

 普段の生活や学習の中でより多くのことを学ぶためには、正しい「物事との向き合い方=考え方」を身に付ける必要がある。ゼミや会議などの場をより充実させたいと思う人必見の本だ。
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