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【オープンキャンパス2019】基礎ゼミ紹介「江戸時代の方言集を読む」 ~言語の歴史 古書から学ぶ~

 近年、人々の方言に対する関心が高まっている。かつて方言が持っていた、田舎らしくて格好悪いというネガティブなイメージは払拭され、可愛い、面白いなどポジティブなイメージへと変わってきている。こうした関心の高まりに合わせて、文学研究科の小林隆教授は基礎ゼミ「江戸時代の方言集を読む」を開講した。



 セメスターの前半では方言史と方言研究の手法を学ぶ。研究の手法では特定のものの名称を各地方の方言話者に聞き、文字で記録する方言調査や、記号を用いて調査の結果を記録する方言地図を取り扱う。学生たちは学んだ知識を活かして、青森県夏泊半島における「バッタ」と「イナゴ」の方言調査の結果から自分だけの方言地図を作成する。出来上がった地図は多種多様で、方言分布の法則性が考察しやすいように、地図に書き込む記号の形や色が工夫されている。教授は学生が作成した地図をいくつか取り上げ、良い点と改善点を学生と共有する。

 後半では、越谷吾山によって編さんされた江戸時代の方言集である『物類称呼』を読み進める。変体仮名で書かれているので容易な作業ではない。複数の資料を用いて時間をかけて解読していく。解読後は、国立国語研究所が出版している日本言語地図や方言文法全国地図と照らし合わせながら、江戸時代の方言と現代の方言との関連性を考察する。講義内で教授から与えられた問いに対して学生たちが意見を述べることもある。

 また、方言そのものを学ぶ回以外にも、本学の附属図書館で『解体新書』や『物類称呼』などの貴重書を見る回もある。学生たちは、それぞれの書物が編さんされた時代背景や本の歴史を学ぶ。

 この基礎ゼミの目的は方言の知識を増やすことだけではない。小林教授は「大学の講義や研究は、文献と資料から研究の芽を見つけ、簡単に答えが出ない問いに取り組むという点で高校の授業とは異なる。文理を問わず全ての学生に資料の扱い方や、問題発掘から解決までの過程をこの講義で学んでほしい」と話す。

 今年度は165の基礎ゼミが開講されている。基礎ゼミは内容・形式ともにさまざまで、所属する学部に関係なく自由に選択できる。皆さんも多様な分野に目を向け、興味関心のある講義を見つけてほしい。
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