【先生、質問です!】(2) 高度教養教育・学生支援機構 山内保典 准教授
https://ton-press.blogspot.com/2019/11/sensei2.html
本学の研究者が日頃何を考えているか、またどのような思いで日々学生に向き合っているか迫る企画「先生、質問です!」。第2回を飾るのは、本紙読者から取材してほしいとの要望のあった高度教養教育・学生支援機構の山内保典准教授だ。山内准教授は現在2児の父親で、仙台市内の公園で子どもと遊ぶ姿や、学生の通学時間帯に青葉山の託児所まで子どもを連れて行く姿を見かける人も少なくはないだろう。このように家庭的な一面も持つ山内准教授に話を伺った。
育児が一番没頭できるものになりましたね。大学にいる時間以外は常に「おとうちゃん」であり、単純にこの時間を1日に当てはめれば、人生の3分の2は「おとうちゃん」なわけです。子どもの希望でホットケーキを作ったり、公園に行ったり、おもちゃ売り場に行ったり。もうこれで一日が終わります。これから年を重ねて行くごとに子どもも成長して変わっていくので、その変化も楽しみです。
―山内准教授の趣味や好きなことは
歌が好きですね。子どもができる前は妻とカラオケに行って、カラオケの採点で全国順位1位を取れる曲を10曲歌って遊んでいました。ちょっとマイナーな曲や、アコースティック版の曲あたりは1位が狙いやすいんですよ。普段はキリンジやくるり、山崎まさよしなどの曲を歌っていました。教員の立場ではなかなかできそうにないのですが、学祭でギターを持ってゲリラライブもしてみたいですね。
他に、授業と絡めながらゲームをするのも好きです。例えば、さまざまなジャンルの語句カードを集めて短歌を作るゲームがあるのですが、意外な組み合わせでアイデアを生む発想法の練習になりますし、「どうしてこういう短歌にしたか」を説明することで、自然にコミュニケーション能力も育まれます。さらには短歌ごとに個人の解釈が違いますから、そこから人の世界や価値観を知って自分の視野を広げることができますよね。たまに妻とこのようなゲームをしながら、遊んで学習できるゲームを授業や研究でも応用できないかと考えています。
―ゲームを研究に応用するというが、元々どのような研究をしているか
当初は心理学の立場から、「科学者と一般の人の間の価値観の相違」について研究していましたが、今は学際的な研究になっています。今現在社会における科学の在り方が変化し、いろいろな分野の科学者同士、さらに一般の人も含めた話し合いが必要になっています。その中で、研究者側がうまく自分の研究内容や価値観を社会に表現できないというのは問題であり、もったいないなあとも思いました。そのため、研究者の卵である学生に、社会に対して関心を持ってもらう一方で、一市民として研究活動・社会問題を見て、自分の意見を表明できるようにどう教育すればいいかを考えていくようになり、これが自分の研究分野となりました。科学者と市民との対話の場ではコミュニケーションや、社会を予測するシミュレーションの能力が必要ですが、それを講義で「よく話してよく考えろ。他人を大切にしよう」と伝えても、そこまで身につかないですよね。だからこそ、私はゲームなどで実感しながら身につけるべきと考えます。
―科学者と市民との対話の場について、具体的にしてきたこと、また対話の場として作りたいものは何か
前任校の大阪大では、再生医療に関する対話の場をデザインしました。まずサイエンスカフェを展開し、そこでは市民側の期待と不安をできるだけ集めます。それをNPOと科学者と市民が話し合う場に持って行き、「何が重要か」「今から社会で問わなければいけない問題は何か」などの議題を討論してまとめ、アジェンダとして社会に公表する、ということをしていました。
こうした経験を授業に応用して、将来の社会問題、例えば気候変動について学内で院生がそれぞれの専門分野を背景にした持論を展開し、そこに企業が「気候変動に関連したこういう技術や課題がある」といった現場の情報を提供して、皆で将来の社会の在り方を考える場を設けたいですね。討論して明確な方策が得られるとは限らないですが、それぞれの学生や企業の視野が広がるような場を用意できたらいいなと思います。そこで「どんな技術があれば、新しい方策が得られるか」という課題を抱き、その後の研究や企業活動に進んでくれると、いま気候変動で注目されている2040年に、もしかしたらもっといい世界になっているかもしれないですからね。
―学生にメッセージを
大学というのは、自分が想像もしなかった自分に変わっていく場所だと思います。その意味で「偶然」を大事にする必要があります。「偶然」の力を借りないと、想像の枠にとどまりがちです。私も「偶然」学部3年から3年連続で受けた観察に関する授業が面白くて人を観察するようになり、今の研究の原点になりました。こうして人生が変わるかもと思ったときに、その自分の変化を楽しむことが大事だと思います。おそらく、皆さんがやりたいと思うことは、大学や社会、日々の生活で起きる「偶然」の出来事や影響を受けてどんどん変わっていきます。「面白そう」と感じることがあったら、変化を恐れずに軽い気持ちで挑戦してみましょう。そこでどんどん自分が変わっても、自分のどこかに変わらない部分があるはずで、それが自分の核だと思います。変化していくことと、それでも変化しないこと。この両方を見ていくことが重要だと思います。
―育児で生活がどう変わったか
育児が一番没頭できるものになりましたね。大学にいる時間以外は常に「おとうちゃん」であり、単純にこの時間を1日に当てはめれば、人生の3分の2は「おとうちゃん」なわけです。子どもの希望でホットケーキを作ったり、公園に行ったり、おもちゃ売り場に行ったり。もうこれで一日が終わります。これから年を重ねて行くごとに子どもも成長して変わっていくので、その変化も楽しみです。
―山内准教授の趣味や好きなことは
歌が好きですね。子どもができる前は妻とカラオケに行って、カラオケの採点で全国順位1位を取れる曲を10曲歌って遊んでいました。ちょっとマイナーな曲や、アコースティック版の曲あたりは1位が狙いやすいんですよ。普段はキリンジやくるり、山崎まさよしなどの曲を歌っていました。教員の立場ではなかなかできそうにないのですが、学祭でギターを持ってゲリラライブもしてみたいですね。
他に、授業と絡めながらゲームをするのも好きです。例えば、さまざまなジャンルの語句カードを集めて短歌を作るゲームがあるのですが、意外な組み合わせでアイデアを生む発想法の練習になりますし、「どうしてこういう短歌にしたか」を説明することで、自然にコミュニケーション能力も育まれます。さらには短歌ごとに個人の解釈が違いますから、そこから人の世界や価値観を知って自分の視野を広げることができますよね。たまに妻とこのようなゲームをしながら、遊んで学習できるゲームを授業や研究でも応用できないかと考えています。
―ゲームを研究に応用するというが、元々どのような研究をしているか
当初は心理学の立場から、「科学者と一般の人の間の価値観の相違」について研究していましたが、今は学際的な研究になっています。今現在社会における科学の在り方が変化し、いろいろな分野の科学者同士、さらに一般の人も含めた話し合いが必要になっています。その中で、研究者側がうまく自分の研究内容や価値観を社会に表現できないというのは問題であり、もったいないなあとも思いました。そのため、研究者の卵である学生に、社会に対して関心を持ってもらう一方で、一市民として研究活動・社会問題を見て、自分の意見を表明できるようにどう教育すればいいかを考えていくようになり、これが自分の研究分野となりました。科学者と市民との対話の場ではコミュニケーションや、社会を予測するシミュレーションの能力が必要ですが、それを講義で「よく話してよく考えろ。他人を大切にしよう」と伝えても、そこまで身につかないですよね。だからこそ、私はゲームなどで実感しながら身につけるべきと考えます。
―科学者と市民との対話の場について、具体的にしてきたこと、また対話の場として作りたいものは何か
前任校の大阪大では、再生医療に関する対話の場をデザインしました。まずサイエンスカフェを展開し、そこでは市民側の期待と不安をできるだけ集めます。それをNPOと科学者と市民が話し合う場に持って行き、「何が重要か」「今から社会で問わなければいけない問題は何か」などの議題を討論してまとめ、アジェンダとして社会に公表する、ということをしていました。
こうした経験を授業に応用して、将来の社会問題、例えば気候変動について学内で院生がそれぞれの専門分野を背景にした持論を展開し、そこに企業が「気候変動に関連したこういう技術や課題がある」といった現場の情報を提供して、皆で将来の社会の在り方を考える場を設けたいですね。討論して明確な方策が得られるとは限らないですが、それぞれの学生や企業の視野が広がるような場を用意できたらいいなと思います。そこで「どんな技術があれば、新しい方策が得られるか」という課題を抱き、その後の研究や企業活動に進んでくれると、いま気候変動で注目されている2040年に、もしかしたらもっといい世界になっているかもしれないですからね。
―学生にメッセージを
大学というのは、自分が想像もしなかった自分に変わっていく場所だと思います。その意味で「偶然」を大事にする必要があります。「偶然」の力を借りないと、想像の枠にとどまりがちです。私も「偶然」学部3年から3年連続で受けた観察に関する授業が面白くて人を観察するようになり、今の研究の原点になりました。こうして人生が変わるかもと思ったときに、その自分の変化を楽しむことが大事だと思います。おそらく、皆さんがやりたいと思うことは、大学や社会、日々の生活で起きる「偶然」の出来事や影響を受けてどんどん変わっていきます。「面白そう」と感じることがあったら、変化を恐れずに軽い気持ちで挑戦してみましょう。そこでどんどん自分が変わっても、自分のどこかに変わらない部分があるはずで、それが自分の核だと思います。変化していくことと、それでも変化しないこと。この両方を見ていくことが重要だと思います。