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【ネタ記事】そうだ、女装しよう ~「とんぺー生、彼女を作る」~

 クリスマス。街はきらびやかなイルミネーションで彩られ、至る所で幸せそうなカップルが目に映る。当然の権利のようにクリぼっちを満喫する者たちにとっては、まさにこの世の地獄である。もちろん筆者にもクリスマスを共に過ごす相手などいるわけがなかった。華の大学生活、これではいけないと奮起し行動を起こす。「よし、女の子になろう」。


 読者の皆さんが「何言っているんだ、こいつ」と思うのも無理はない。しかし、こうするのにはきちんとした理由があるのだ。筆者は中高6年間を男子校で送った。人生において、異性との接し方を学ぶための最も大事であろう期間を、筆者は男だけの空間で過ごしたのだ。やはり男子校は滅ぼすべきだと思うが、今は置いておこう。つまり、筆者は女子についてあまりにも無知なのだ。当然女子とどう関わればいいか分からないし、運よく会話の機会に恵まれたとしても話題がなく、あるのは沈黙。女子ウケする趣味もなければ、会話を盛り上げる話術もない。このような「どうあがいても絶望」という状態から抜け出すために、まず「女子とはなにか」を知る必要があるのは明らかだ。そこから「まずは自分が女の子に近づいてみる」という考えに至るのは道理至極であると、読者の皆さんにおかれても理解していただけることだろう。

 やってみた。女子に近づくにはまず女装だ。洋服を用意するため、実家の母に電話をかける。息子から「女の子になるから服貸して」と言われる母親は当然びっくりして言葉も出ないだろう、と思っていた、が。「どんな服装がいい? あんたにはかわいい系の服が似合うと思うんだけど」。ノリノリである。心のどこかにあった、ツッコんでほしいという願望ははかなく散った。かくして何ともかわいい婦人服を手に入れた筆者であったが、まだまだやることは多い。

 化粧品などを買うため、最初に足を運んだのは100均。そんな安物でいいのかと思う方もいるかもしれない。だが、100均を侮るなかれ。近頃の化粧品のクオリティーは、かつてと比べ段違いに高くなっている。実生活でも十分使える商品がわずか110円で手に入るのだ。女子中高生たちが品定めをする中、男が一人化粧品選び。恥ずかしくないわけがないが、これも女子になるため。なんとかフェイスパウダーやパフ、アイライナーなど化粧道具一式を買いそろえ、次にドン・キホーテに向かった。ここでは黒髪ロングのウィッグとタイツを購入。さあ、道具はそろった。あとは女子に化けるだけだ。

 化粧の仕方をYouTubeで予習しておいた筆者は不慣れながらも自力でメークを施し、服を着替え、ウィッグをつけた。ついに女子の仮装が仕上がった。おお、これは女子っぽいんじゃないか。「ナチュラルメーク風でなかなかに良い」と部員の反応も上々だ。

 しかし、あることに気付く。「あれ? もしかして努力する方向性を間違えてはいないか」。こんなことをしている暇があるなら、女子と関わる機会を増やし、女子のことを知る努力をする方がいいに決まっている。そう気付いた筆者は化粧を落とし、服を着替え、ウィッグを外し、慣れない手つきで髪型を整え、街の中へ繰り出した。「さあて、素敵な出会いでもないかな」。 
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