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【連載】検証 コロナ禍の教室 ②教員 〜対面授業の在り方に転換を〜

 コロナ禍の収束に道筋が見えてきた。アフターコロナの大学の在り方が模索されている。本学高度教養教育・学生支援機構の大森不二夫教授にアフターコロナの大学の授業の在り方について伺った。




―コロナ禍が授業の在り方に及ぼした影響についての認識は


 単位の実質化、ICTの有効活用、対面授業の改善--という三つの側面があると考えています。これまで「大学生が勉強しない」ということが問題になっていました。ただ座ってテストを受けるだけで単位がもらえる。コロナ禍でのオンライン授業により結果的に、こうした従来の在り方から、きちんと課題をこなし勉強することで単位を与える姿へと、ある程度移行しました。本学のデータでは、学部生の週当たりの授業外学修時間が24時間に達しており、コロナ前の3倍以上に増えたものと推定されます。その意味では本来あるべき大学生の姿に近づいたといえます。一方で考えないといけないこともあります。学生向けの調査結果では、今後希望する授業形態について、「主としてオンライン」(16・4%)が「主として対面」(6・2%)を大きく上回り、総じてオンライン授業の評価は高い。「コロナ前までの授業は何だったのか」の再考を迫る結果だと思います。



―アフターコロナの大学の授業はどうあるべきか


 Google ClassroomやISTUといった学習管理システムを利用して対面授業を改善するという方向性を模索していくべきです。具体的には、以下の取り組みが考えられます。予習教材を事前にシステムで提供し、対面授業では予習を前提に議論するアクティブラーニングを進める。オンラインの方が効率的なものはオンラインで授業を続ける。こうすることで、オンライン授業を経験した世代でもわざわざ大学に足を運んで参加する意味を感じられる対面授業を実現できるでしょう。


 この対面授業改善の方向性は非常に重要です。これまで新入生は勉強に期待を持って入学しても、半年間簡単に単位をとれる「楽単」の授業を受けることでその期待や積極性を失ってしまっていた。これが昨年度はなかったからこそ、対面授業の実態を知っている現在の3年生以上はそれほど多くは対面を望まず、1年生は対面を希望したという見方もできるでしょう。


 これまでの大学教育は、学生、教員双方に問題がありました。学生は授業時間外学習がそれほどいらない授業に走りがちでした。一方で教員は、授業は自分が時間いっぱい話すのが仕事だと思ってきた節があります。コロナ禍はその思考を変えるきっかけを与えました。アフターコロナでは学生、教員ともに思考の転換が必要です。学生は自ら積極的に学ぶ姿勢を持つべき。そして教員は学生に学んでもらう仕掛けづくりを考えていくべきです。

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