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蔵書落下 被害甚大 ~附属図書館 完全復旧見通し立たず~

  3月16日午後11時36分、東北地方をマグニチュード(M)7.4の地震が襲った。本学の各キャンパスが所在する仙台市青葉区でも、震度5強を観測したこの地震。本学附属図書館各館では蔵書の落下をはじめ、施設にも甚大な被害が出た。職員や学生ボランティアによる復旧作業が進められているが、特に被害の大きかった本館2号館や農学分館では、全面的な利用再開には時間がかかっている。


本館2号館の作業現場。復旧作業は進んでいるが、完了までの見通しは立たない
=4月13日


 今回の地震による図書館各館の蔵書の落下は、本館と4分館でおよそ38万2千冊にのぼる。特に農学分館では、2階閲覧室の全蔵書にあたる約11万冊が落下したほか、空調機が6台落下するなど、施設、設備の損壊も顕著だった。


 附属図書館では、11年前の震災での被害を踏まえ、さまざまな対策を進めてきた。蔵書の落下防止のため、あらかじめ棚板を内側に傾かせたり滑り止めのシールを貼ったりする対策のほか、地震が起こると落下防止のバーが上がったり棚板が傾いたりする仕組みも一部に施されていた。


 これらの対策は、昨年2月に発生した福島県沖地震(M6.9)では功を奏し、対策を全面的に施していた工学分館ではほとんど被害が見られなかった。しかし、今回の地震は規模が大きかったこともあり、対策を施していた書架でも大きな被害が出てしまった。


 蔵書の復旧作業は今も職員らが通常業務の傍らで行っており、本館では発生から4週間の時点で、のべ300人以上の職員が作業を行った。3月末からは学生ボランティアも作業に携わっている。


 本館と4分館は現在、一部に制限を加えて開館を再開している。本館情報サービス課閲覧係の永井伸さんは、今後も余震や新たな地震があるかもしれないことに触れ、「利用中に揺れを感じたら、書架から離れるように」と注意を促す。同課課長の半澤智絵さんは「震災をはっきりと体験した学生は少なくなっているかもしれないが、常にどういうルートで逃げたら良いかを、意識しておいてほしい」と呼びかけた。


「自分たちも何かできるのでは」
~学生団体SCRUM 復旧作業担う~


 「地震後初めて館内に足を踏み入れた時、言葉が出なかった」「今まであった光景、当たり前の光景が一瞬でなくなるというのを、目の当たりにした」。そう話すのは、学生団体SCRUM(スクラム)のメンバー、髙橋真二郎さん(経・3)だ。SCRUMに所属する学生なども、ボランティアとして図書館で落下した蔵書の復旧作業にあたっている。


落下した蔵書の隙間で復旧作業を続ける学生ボランティア。二次被害を防ぐため、常に軍手とヘルメットを着用している(SCRUM提供)


 現在、復旧作業を担う学生ボランティアは、SCRUMのメンバーをはじめ、学生ボランティア団体HARUのメンバーなどおよそ20人。3月28日から作業を開始し、先月の授業開始後は短時間でも、参加できるメンバーを募って、活動している。


 学生ボランティアは主に、雑誌などを製本し冊子体にした「製本雑誌」と呼ばれる資料エリアの復旧作業にあたっている。バラバラに落下した資料のうち、タイトルが同じものを積み上げることで通路を作る作業を担当している。製本雑誌は重量が大きい上、同じ表紙のものが複数あったり、図書と違い並び順の目印になる請求記号が付いていなかったりするため、書架1列分の復旧作業でも6時間程度かかってしまう場合もあるという。


 「初めの1週間は動くかどうか迷っていた」と明かすのは、3月下旬からSCRUMの代表を務める井指晴貴さん(農・2)。実は、今回のボランティアは図書館側からの要請ではなく、SCRUM側からの提案だった。「普段から図書館は使っているし、お世話になっている。3・11のときも学生ボランティアが活躍していたし、自分たちも何かできるのではないか」。そうした団体内の声を受け、井指さんは早速、附属図書館長を務める大隅典子副学長(広報・ダイバーシティ担当)に連絡を取った。手段は、図書館被害を伝える大隅副学長のSNS投稿への返信。スピード感を持った行動が、迅速で効果的な対応に結びついた。


復旧作業について話す井指さん(左)と髙橋さん(右)

 SCRUMは、ボランティアとその受け皿をつなぐ「ボランティアのボランティア」を担う学生団体。現在は、それに加えて実際にボランティア活動をしたり、「学ぶ・深める」をテーマにボランティアに関する知見を深める活動を行ったりしている。


 図書館の学生ボランティアでは、多くの学生が授業の合間を活用して参加している。井指さんは「『空いている時間があるしボランティアをしよう』くらいの気持ちでもいいと思う。そういった感覚でボランティアができるような場を作っていきたい」と話す。

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