【深田歩の密着!学食バックヤード】~第1弾「杜ダイ編」前編~ 食堂の朝 学生より早く
川内の杜ダイニング、通称杜ダイ(川内北キャンパス)。全キャンパスで最も大きい食堂で、一日に1600食以上を提供している。先月からの対面授業の増加で、連日大混雑がみられるこの食堂。金曜日の厨房内に潜入し、激動の一日を追った。(深田歩)
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午前6時30分過ぎ。人気のないキャンパスを抜けて、川内厚生会館へ。杜ダイでは、既に3人のスタッフが作業を開始していた。
この日の朝定食は、さば生姜煮と中華フライの2種類。メニューは2週間前には決定しており、当日は調理を進めていくのみだ。
朝食の提供開始は8時。1限の授業を前に、毎日400人以上が来店する。使用する食材の納品や食器の準備などが進む中、いち早く始まる調理作業が炊飯だ。杜ダイで使用している炊飯器では、一度に10キログラムものご飯を炊き上げることができる。中サイズにして50人分。複数台を同時に稼働させ、朝定食のご飯をまかなう。現在提供しているお米は、本学農学研究科附属の川渡フィールドセンターで収穫されたもの。山芋やにんじんなどの根菜も、年に数回同センターからの提供を受けている。
炊き立てのご飯。耐熱のネットに包んであるので、 盛り付けの際に一気に持ち運べる |
7時を過ぎると、おかずの調理も動き出す。炊飯担当のスタッフは、ご飯を炊いている間にフライヤーへ。きつね色に揚がったギョーザと春巻きを山盛りにしていく。温かいものを提供できるよう、何回にも分けて揚げる。またあるスタッフは、突然包丁を取り出し、豆腐を切り始めた。手のひらの上で、一丁の豆腐を6等分。かごいっぱいに積まれたパックが、ものの数分ですべて空になった。
中華フライセットのメイン皿(右) と中華フライセットを手に取る学生(左)。 たくさん用意してもすぐになくなってしまう |
朝食の調理とほぼ同時刻に動いているのが、各キャンパスの購買店で販売されるお弁当だ。お弁当専門のチームが、杜ダイの厨房からは区切られたブースで作業をしている。メインおかずの一つである塩だれチキンは、オーブンで当日の朝に調理されたもの。ただ焼くのではなく蒸し焼きにすることで、皮面はパリッと、内側はしっとりとした食感に仕上げている。
「開店5分前でーす!」「はーい!」。声が交わされるのを聞き、厨房内へと目線を戻す。この時間になると、厨房内の人数は10人近い。カウンター担当のスタッフを中心に、お皿へと盛り付けを進めていく。
お弁当のメインおかずであるチキン。 オーブンから出されたばかりの焼きたて |
8時。開店と同時に、次々と学生が訪れる。皿を補充しながらも、「野菜ジュース忘れずにお持ちください」の声掛けは忘れない。以前は、朝定食には野菜ジュースではなく味噌汁がついていた。塩分の過剰摂取を防ぐために、野菜ジュースへ切り替わったという。
どうやら想定より多くの学生が来たようで、豆腐の追加が必要になった。午前8時25分。まだまだ杜ダイの朝は終わらない。
【全3回。中編へ続く】