【インタビュー】受験に役立つ心理学~神経細胞は裏切らない~
受験が近づくにつれ焦る心は、受験生の悩みの種だろう。生活に役立つ心理学を研究する本学文学研究科の坂井信之教授に、「心」との付き合い方を聞いた。(聞き手は恵利一花)
「懐かしさ」緊張ほぐす
試験の直前になると、緊張して何も頭に入らなくなることがあります。受験は、人生を左右する一大事。野生動物であれば、「戦うか逃げるか」しか選択肢がないような極限状況です。そんな時に、後々に生かす知識を蓄えている余裕は無いですよね。「今」を生き残ることに、全力を注がなければいけませんから。そのため、過度に緊張すると、私たちの頭は真っ白になってしまいます。
緊張状態から抜け出すには、交感神経の働きを抑えることが必要です。そのためにお薦めしたいのが、好きな音楽を聴いたり、小さい頃から好きなお菓子を食べたりすること。ストレスの無い状況を体が思い出せば、気持ちもおのずと落ち着いてきます。温かいものを食べて体内の温度を上げることも有効です。
徹夜は厳禁
いくら切羽詰まっていたとしても、徹夜で勉強することはおすすめできません。特に、コーヒーやエナジードリンクを飲んで無理やり目を覚ますのはNGです。
起きている間の脳は、絶え間なく入ってくる情報を処理するので精一杯。覚えた知識を整理する余裕がありません。寝ずに覚えた情報の多くは長期記憶にはならず、1日も経たずに記憶から消えてしまいます。
また、カフェインに頼って勉強をしていると、テストの時にもカフェイン入り飲料を飲まなければ、せっかく覚えたことを思い出しづらくなってしまうのです。この現象には、「状況依存学習」と呼ばれる効果が関係しています。