【一言居士】ー2025年1月号ー
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年賀状の季節である。「あけましておめでとうございます」といった定型文、それに少しの個人的な話題と、小さな絵が添えられたはがき▼「年賀状じまい」という言葉をこの前初めて耳にした。年賀状を今後取りやめる旨を書いて、今までやりとりがあった相手に送るのだという▼私は年賀状をかくのが好きだ。手紙を送る機会はめったにないから特別感があるし、どんな絵や文を入れるか考えるのも楽しい▼年賀状には他にも利点がある。自分の友人の居所をアナログ媒体で残しておけることだ▼不意に自分が落命したとして、遺された家族が私のスマホを見てくれるかどうか。プライバシーを慮って見ずにそっとしておく可能性は十分ある▼そんなとき、私の友人はどこの誰なのか、手がかりはほぼ無くなると言っていい。そこで年賀状があれば名前、住所、なんとなくの関係性が見て取れるだろう▼スマホのデータは完全に保たれるものではない。他者との関係性のバックアップとして、年賀状は機能しうるのではないだろうかと思った。(文責・津波依織)