米留学 先行きは不透明 本学学生への影響は
アメリカ留学への道には不確実性が増している。
度重なる移民政策の変更
今年1月に新たに発足したトランプ政権では、移民政策の見直しが進められている。バイデン前政権を含め、アメリカはこれまで留学生に対して比較的寛容な措置を取ってきた。それに関して、トランプ政権は国家安全保障上に懸念点があると指摘し、大きな政策転換に舵を切った。
ビザ(査証)取得の必要がない一部の短期留学プログラムを除き、交換留学、正規留学などほとんどの留学プログラムが大きな影響を受けている。5月下旬、正規留学をする予定の留学生の中で、ハーバード大学に入学する予定の者、および中国政府に関係のある者のビザ審査の厳格化が発表された。その1週間後、正規留学ビザ(F-1)、交換留学ビザ(J-1)などの留学ビザ面接の新規受付が全て停止となった。これは在日米国大使館も対象となっている。
新規受付の停止から3週間後、学生ビザの面接再開が発表された。「新たな指針のもと、包括的かつ徹底的な審査を行う」として、すべての申請者に対して、SNSの設定を「公開」に変更することを求めるなど、SNSの投稿内容の審査を強化する方針が発表された。
しかし、21日現在、ビザ面接の予約が再開されたものの、予約できる日程はないという状況が続いている。
本学渡米する予定の学生の現状
本学はアメリカの大学24校と学術交流協定を結んでいる。この制度を利用してアメリカに半年間〜1年間ほど留学する学生は毎年30人ほどいる。その上、部局間交流協定で留学する学生も一定数いる。
このような不透明な渡航状況の中で、本学留学生課は3日、渡米する予定の本学学生を対象した説明会を行った。
渡米予定の学生の中で、一部の人は留学先の変更を検討していることがわかった。しかし、現時点では多くの大学は秋学期からの留学推薦・申請期間がすでに終了している。そのため、今からの留学先変更は不可能ではないが、困難が伴うことが予想される。
それに対して、本学留学生課とグローバルラーニングセンターはまだ申請可能な大学への交渉や再推薦を、個別対応レベルで可能性を模索している。(図参照)
一方、アメリカ側の受け入れ状況は依然として不透明だ。特にビザ発給や受け入れ校での対応について、本学は協定校からまだ明確な情報が得られていない。米国大使館の情報提供サイトや日本学生支援機構(JASSO)のQ&Aを参考にしている学生はいるが、確実な見通しが立つ見込みはない。
カリフォルニア大学など本学の学術交流協定校は、秋学期の授業について対面実施の他、オンラインでも受講できるように準備を進めている。場合によっては半年間のオンライン授業になる可能性もあるという。
渡米後も油断は禁物
政治的に不安定化している中、アメリカにいる間は政治的活動や大規模な集会への参加は控えるようにと留学生課は注意喚起している。また、これらの活動に参加せずとも、SNS上での発言や投稿が在留資格査に影響を与える可能性があるため、留意しておく必要がある。
学生には、早めの判断と留学生課への相談が呼びかけられている。