【一言居士】━2025年12月号━
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私は水族館が好きだ。狭い水槽に閉じ込められている魚たちには気の毒だが、水族館にいる間は日常の悩みを忘れ、穏やかな気分になれる。しかし近頃、好きなはずの水族館から足が遠のいている。別に忙しいわけでも、動物愛護に目覚めたわけでもない。大学生になり、入場料が高くなっただけだ
大学生は、しばしば大人として扱われる。社会に出て働く同級生を思えば、大学生が大人に分類されるのは仕方ないことだろう。一方で、自分の精神が大人と言えるほど成熟していないことも知っている
人はいつ大人になるのか。水族館の入場料が高くなることが大人になることなら、私は大人になることなど望まない。しかし実際は、年を取り不可抗力で大人になっていくうちに、水族館の入場料が高くなる
高校生の頃は大人になりたくなかった。今もその思いは変わらない。しかし自分の意思ではどうにもならない身分の変化が、いつまでも子供でいられない現実を突きつけてくる。モラトリアムが終わった時、私の精神は大人になれているだろうか。 (文責・平山遼)