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【告知・研究成果】スパコン「MASAMUNE-IMR」公開 ~計算材料学で世界的なリードを~

 本学金属材料研究所計算材料学センターが来月1日から運用を開始するスーパーコンピューティングシステムの愛称が「MASAMUNE-IMR」に決まったことを受け、今月12日、「MASAMUNE-IMR」のスーパーコンピュータ(スパコン)筐体を報道陣に公開した。本学でスパコンにまつわる会見を開くのは極めて異例で、関心の高さがうかがえた。




 本学では四つの施設でスパコンを運用している。このうち計算材料学センターでは、1994年からスパコンを導入。およそ5年おきにシステムを更新しており、今年はシステム更新の時期になっていた。

 公開された筐体は、幅3・4メートル、奥行き1・8メートル、高さ2・0メートルの大きさだ。側面のパネルには、絵師の御歌頭さんによる伊達政宗の墨絵のイラストが、愛称とともに大きく描かれている。

 「MASAMUNE-IMR」という愛称は、「MAterials science Supercomputing system for Advanced MUlti-scale simulations towards NExt-generation – Institute for Materials Research」の略。「MASAMUNE-IMR」で得られた研究成果を次世代に向けて仙台から世界へアピールできるようにと願いが込められた。

 本学のスパコンとしては初めて愛称を公募。その意図について、愛称の選考に携わった、計算材料学センター長の久保百司教授は「スパコンは日本の材料科学の分野で活躍しており、若い人を中心により親しんでもらいたかった」と語った。

 結果として486件の応募があり、愛称決定後もSNSでの拡散やメディア取材が増えた。この結果に久保教授も「想定外で、反響の大きさを感じる」と笑顔だ。

 「MASAMUNE-IMR」は、「京」に次ぐ第2階層のシステムと位置付けられており、とりわけ材料科学に関しては重要な役割を担う。演算性能は1秒間に3千兆回計算できることを示す3ペタフロップスで、更新前のシステムと比べて10倍に向上。より大規模な、あるいは通時的な計算を行えるようになった。

 「MASAMUNE-IMR」は材料科学の研究に関してのみ使用でき、エネルギー、金属、エレクトロニクス分野の材料技術に応用することとなる。新材料の作成を実験より前に設計することも容易になる。利用者は本学の研究者に限っていないが、事前の審査と事後報告が必要だ。

 久保教授は、金属の応力腐食割れや自動車エンジンの摩擦化学反応といった、化学反応と融合した材料科学の研究を行っている。これらの研究でもスパコンは不可欠だ。「大規模な計算ができることで、これまでは異なるスケールで計算していたものも一度で計算できる。これが、スパコンの愛称にも入っているマルチスケールシミュレーションということだ。これによって新しい世界が見えてくるのでは」と久保教授は先を見据えた。

 「MASAMUNE-IMR」の導入を契機に、「計算材料学を研究する人を増やし、すそ野を広げたい」と久保教授は展望する。東京大をはじめとして、スパコンを持つ日本の機関はいくつもあるが、材料科学に関しては本学が大きな役割を担っている。「計算材料学において世界的にリードしていけるようにしたい」と久保教授は意気込んだ。

 このスパコンは来月18、19日の一般見学会でも公開される。計400人限定で、来月8日までに計算材料学センターのホームページから申し込みが必要。
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