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【ホームカミングデー講演】「はやぶさ」の軌跡たどる ~強い精神と確かな技術で太陽系・生命の謎解明に挑む~

 ホームカミングデーが本学川内南キャンパスで先月29日と30日に開催された。今回のメイン企画は、29日に川内萩ホールで行われた講演「はやぶさ2が挑む! 太陽系と生命誕生の謎」。今年6月に小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」に到着したことを受け、小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクトに携わった2人の本学教授を講演に招いた。




 1人目の理学研究科の中村智樹教授は、はやぶさが小惑星「イトカワ」から回収したサンプルを分析した。結果、サンプルには太陽系が生まれたときの痕跡が残っており、イトカワは大昔に形成された小惑星の「生き残り」と判明した。

 続けて中村教授は小惑星を研究する意味を説明した。地球誕生のプロセスを解明しようにも、地球上では誕生時の物質のほとんどは地中に埋まり、中心にあるマグマで溶かされてしまったため、地球上の物質のみでの研究は難しい。そこで、地球外から飛んでくる隕石を調査することにした。しかし隕石はどこから飛んできたのかが不明かつ、水や土などの地球上の物質と混入するので、あまり調査には向いていない。こうして宇宙で直接採取する方法をとるようになった。

 今話題になっているリュウグウは、イトカワと違って水や有機物を豊富に含んでいる。今回、サンプルを持ち帰ることに成功し、分析すると地球や海の誕生、さらに生命の起源まで明らかになることが期待されるという。

 2人目の工学研究科の吉田和哉教授はサンプルの採集技術に計画当初から関わっていた。はやぶさがイトカワに着地する際、着地点の起伏が激しいとはやぶさが倒れてしまうため、比較的平らな表面を自動で探すシステムを開発する必要があった。また、イトカワは地球と比べて重力が非常に弱いため、着地しても安定しないことにも注意を払った。着地はサンプル採取に直接関わるので、着地方法について議論が活発だったという。

 最後に、東北放送の熊谷望那アナウンサーが司会を務め、2人の教授とのトークセッションが行われた。プロジェクトにおける2人の教授のそれぞれの取り組みや苦労に、場内では感心する様子が見られた。

 シミュレーションを行ったとしても現実では予想外な事態が起こることは珍しくなく、吉田教授は「想定通りにいかないのは探査の面白いところ。研究にあたっては強い精神力と確かな技術力が必要だ」と話した。また、吉田教授は、はやぶさ2から離脱して地表を撮影する探査機「MINERVA-Ⅱ2」の開発にも携わっていることを受け、「サンプル回収に成功して持ち帰るまできちんとプロジェクトを遂行し、結果を出したい」と力強く語った。
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