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食事処 萩や ~学生見守る親心~

 カウンター8席の小さな店内。ホワイトボードに書かれたお品書きには、「若どりのから揚げ定食」や「レバニラ定食」など、ごく一般的な料理名が並ぶ。「ぼろっちいお店だから恥ずかしい」。謙遜しながら話すのは、本学星陵キャンパス近くにある「食事処 萩や」の長谷川キヨシさん(70)。1999年の創業から丸20年間、「あっという間だった」と振り返る夫の進さん(75)と二人三脚で店を切り盛りしてきた。

 「萩や」の前は、旅館の割烹をしていた進さん。「いつか自分の店を持ちたい」という夢を長年持ち続けていたという。開業にあたり、メニューや値段について、割烹とは違う勉強を積んだ。食材は実際に目で見て、触って確認してから、鮮度の良いものを仕入れる。中でも、その季節の旬ものを出すことにはこだわりがある。料理は必ず注文を受けてから、一つ一つ丁寧に作る。「やっぱり、お客さんの『おいしいなあ』という言葉に一番、やりがいと楽しさを感じる」と進さんは笑みを浮かべる。

 「萩や」に足を運ぶ人の多くは、近くの学校に通う学生だという。「前は自分の息子みたいだったのが、今はもう孫を見ている気分」とキヨシさん。一人暮らしをする学生の健康に配慮して、付け合わせの野菜は気持ち多めに。「安くてもできるだけいいものを出したい」という学生への思いから、材料の価格高騰や消費税増税にも関わらず、料理の値段は20年前のままだ。

 「『ここの学生さんはマナーがいい』と他のお客さんに言われると、自分のことのようにうれしい」とキヨシさんは微笑む。自分の彼女を連れて店を訪れていたある学生が、結婚後、今度は子どもの写真を手に再び来店してくれたこともあった。「お客さんとの会話が一番のボケ予防」と笑うキヨシさんだが、時代も変わり、カウンター越しに客と話すことも少なくなってきたという。それでも、「名前は聞いてなくても、顔を思い出すと懐かしい」と、「萩や」で出会った学生一人一人に思いをはせる。「バランスの良い食事と、何でもいいから、朝ご飯をちゃんと取ってほしい」と、学生の食生活を気遣った。

 これまでの歩みを振り返り、進さんは「お客さんに恵まれた。ありがたい」と話す。浮き沈みの激しい平成に、学生をずっと見守り続けた「萩や」。新たな時代へ移ろうとも、ひっそりとたたずむ「萩や」ののれんをくぐれば、温かい食事と優しいご夫婦が人々を迎え入れてくれるだろう。
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