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【連載】復興再考 ~原発事故後の街づくり~ ④「福興youth」沼田果穂さん

情報発信で活気取り戻す


 福島県浜通り地域を中心に、被災地で10年近く復興ボランティア活動を行っている本学サークル「福興youth」。同団体に所属し、津波や原発事故の被災者と交流を続ける、福島県いわき市出身の沼田果穂さん(薬・3)に自身の活動で感じた復興への思いを聞いた。(野澤凜太郎)



災害公営住宅の住民と交流する
沼田さんら福興youthのメンバー
(沼田さん提供)


 月に2度ほど、いわき市や富岡町にある災害公営住宅を訪れ、季節のイベントや工作体験などを通して、住民の方々と交流しています。一緒に楽しい時間を過ごすことで、震災で負った心の傷を癒やす、とまでは行かずとも、少しでもマイナスな気持ちのはけ口になれたらと思っています。


 特定復興再生拠点区域での避難指示解除や、暮らしを再建する取り組みが進み、復興が更に一歩前へ進んでいるように感じています。一方で、いまだに住んでいた町に戻れない人にとって、復興はまだ長い道のりのだと思います。


インタビューに答える沼田さん
=2月、青葉山新キャンパス

 福島県いわき市出身。
小学2年生で震災を経験した。
当時、自宅は避難指示区域外だったが、
原発事故への懸念から、
親戚のいる茨城県に一時的に避難した。




 原発事故で避難を余儀なくされた方からは、本当に大変な思いをしたと聞くことが多いです。何カ月も避難生活が続き、何カ所も避難所を転々としたと。しかし、彼らの辛さがなかなか理解されない状況もあるそうです。「賠償金を多くもらっているからいいよな」と言われることもあったと聞きます。当事者と世間との間に、原発事故被害の認識について大きなギャップがあると感じました。



残る風評被害「人々の抵抗感減らしたい」


 原発事故が世間に与えたインパクトが、福島出身の自分が思っていたよりもずっと大きかったことにも気付きました。近年、農業をはじめ産業を再生する動きがさらに広がっていますが、風評被害はまだ残っているようです。除染が進んだ今でも、福島と聞くと放射性物質の影響を恐れ、抵抗感を覚えてしまう人がいるのではないでしょうか。


 もし同じことが知らない場所で起こっていたら、私も同じように感じていたかもしれません。そういったイメージや抵抗感を減らすためには、正しい情報を伝えることが必要だと考えています。


 私たち学生にもできることはあると思います。SNSなどを活用して、復興の状況や福島の魅力を伝えていきたいです。震災前の姿を取り戻すのは難しくても、そういった活動を通して若い人たちが地域に根付き、活気が戻るといいなと思っています。



記者の目


 この春、全ての拠点区域で避難指示解除が完了する見通しだ。ハード面での復興が進んだことを実感する。一方、被災地に活気を取り戻すためには、被災者の心の回復や新たなコミュニティの形成など、ソフト面での対策も必要だ。沼田さんらの活動は、その実践の大きなヒントになるはずだ。



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