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ブラックバイト問題 ―仙台バイトユニオンに聞く―

 学業に支障をきたすほどの重責を担わせ低賃金で過酷な労働を強いる、いわゆるブラックバイトが近年社会的な問題になっている。そこで、ブラックバイト問題に取り組む仙台学生バイトユニオンの事務局の森進生さんに話を伺った。




―仙台学生バイトユニオン設立の経緯について

 元々、東京にブラックバイトユニオンという組織があり、全国組織としてブラックバイトの相談を全国から受け付けていました。仙台からの相談の増加を受けて、東北大学や東北学院大学の学生が有志で集まり、昨年4月にブラックバイトユニオン仙台支部として設立されました。仙台市内の大学生十名程度で活動しています。学生アルバイトの方が抱える問題と大人の労働者が抱える問題は異なりますので、当ユニオンの設立により、学生に特化した支援ができるようになりました。

―活動内容について

 主な活動は学生のアルバイトに関する相談に乗ることです。ブラックバイトへの対処の仕方をアドバイスしたり、相談にいらした方と一緒に事業者と交渉したりします。事業者と一人で交渉することをためらってしまう方でも、相談にいらしてくだされば、当ユニオンが本人と一緒に交渉することができます。直接当ユニオンの事務所にいらっしゃる方はもちろん、電話やメールでの相談にも対応しています。またブラックバイトについて学生の皆さんに知っていただくために、昨年の6月と8月に弁護士の方をお呼びして、ブラックバイトについて法的な観点から解説していただくセミナーを開催しました。参加した方の多くは東北大生でブラック企業・ブラックバイトを経験した学生でした。さらに昨年の12月にはブラック企業対策仙台弁護団との共催で、ブラックバイト年末ホットラインを設けて無料で相談を受け付けました。

―ブラックバイトの特徴とは

 当ユニオンはブラックバイトを「学生を尊重しないアルバイト」と定義しています。例えば、講義や試験があるのに休ませてもらえなかったり、無理にシフトを組まれたりするような事例がそうです。ブラックバイトであるのか否かは実際に働いてみないとわからない場合が多いですが、見分けるポイントはいくつかあります。一つ目は、契約書が渡されるかという点です。契約書を作成しないもしくは渡さない場合、雇い主の側に契約内容や法令を守る意思がないことの表れである可能性が高いです。そもそも、契約書を作成しない、渡さないこと自体が違法です。二つ目は、給料支払いに関しておかしなところがあるかという点です。授業時間以外の時間について給料が支払われない個別指導塾の「コマ給」や、深夜割増が支給されないといった場合は違法です。三つ目は罰金やノルマ制があるかという点です。労働者に罰金を科す場合の要件は法律で厳格に制限されており、例えば遅刻1回で罰金1000円を科すといったことは多くの場合違法です。また、売り上げのノルマを課し、達成できなかった分の商品をアルバイトに買い取らせるといったことも違法です。

―ブラックバイトへの正しい対応とは

 まず、一人で悩まずに専門家に相談してください。労働基準監督署などの行政機関や弁護士に相談するのはハードルが高いと感じる方は、当ユニオンに気軽に相談してください。また、未払いの給料を取り返すなどの場合には証拠が必要になるケースがあります。契約書をきちんともらい、何時間働いて、何をして何をされたかなどを記録しておくといいでしょう。手帳にメモをするだけでも大丈夫です。働き方で何かおかしいと感じたとき、「これが社会の常識なのか」と納得せずに、「何かおかしい」という感覚を信じてほしいと思います。また、「話を大ごとにしたくない」という気持ちもわかります。しかし、自分が声を挙げることで自分が救われるだけでなく、その事業所や業界全体の労働環境が健全化される場合もあるのです。ですから、ブラックバイトの被害にあったときは、まずは気軽にご相談にいらしてください。

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