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【研究室インタビュー】法医学 美作宗太郎教授 「ドラマのような華やかな世界ではありません」

 「法律に関係がある医学的な問題を研究し応用する学問」。法医学とは、との問いに法医学分野の美作教授はこう答える。事故や事件の法医解剖、子ども虐待事例への対応などさまざまな分野で社会に貢献している法医学について話を聞いた。


伝統の看板が設置される法医学分野入口



 法医学は応用医学の中の社会医学に属する分野の一つで、さらに法病理学、法中毒学、個人識別、死後画像診断、臨床法医学の5分野に大別される。法病理学や法中毒学は、亡くなった方の外傷や、どのような病気にかかっていたのか、薬毒物やアルコールがどのように死と関わっていたかを調査する。個人識別ではDNAや、歯学部と連携して歯科所見などから身元の調査を行う。死後画像診断は、CTを用いて解剖前に死体の情報を得ることで、解剖の効率化や見落とし防止を図る。これら4分野を組み合わせることで、亡くなった方の身元特定や死因解明を行う。臨床法医学は法医学の技術や手法を生体に応用する分野で、例えば被虐待児の損傷を調査するといった実務がある。



 法医学の医師は慢性的な人手不足のため、美作教授は学生教育、研究の他に、多くの時間を法医解剖に費やしている。東北大学では年間200以上の法医解剖が行われるが、要求される技術や経験を積むために、医学部入学から長い年月を必要とする。現在、県内で司法解剖を担当する医師は本学に2人、東北医科薬科大学に2人しかおらず、美作教授は秋田大学も兼務している。多忙な生活に加えて、死後に時間が経ったケースを扱うことも多く、また裁判での証言を求められるなど責任は重大であるため、分野として人気がないのかも、と苦笑を漏らす。



それでも法医学に携わり続けている理由については、学生時代に救急医を目指していたことが根底にあり、人の亡くなった理由を解き明かしたいから、と話す。「法医解剖では、生前のカルテや画像診断のような事前情報がほぼない状態から、死因を推定しなければなりません。救急医の行う、救急車で突然搬入されてくる患者の処置も、事前情報が乏しい状態から始まるため、通ずるところがありました。」当時は、心肺停止状態で救命救急センターに運ばれてきた人の中で実際に救命できる人は多くはおらず、社会復帰できる人に至ってはほぼいないのが実態。「どうして亡くなったか知りたいと思う気持ちがありました。テレビドラマで見るような華やかな世界では全くありませんが、真相が分かったときには達成感があります」と語った。

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