【深田歩の密着!学食バックヤード】~第1弾「杜ダイ編」中編~ 頼れる機械たち 大活躍
学食の厨房内を伝える、「密着!学食バックヤード」。川内の杜ダイニング(杜ダイ)編の第2回目となる今回は、昼食時にほぼ毎日提供されているK1ハヤシライスの調理過程に迫る。(深田歩)
朝食提供のピークが過ぎ、学生の数もまばらになってくる午前9時20分。調理スタッフもほっと一息ついている…かと思いきや、朝食の片付けと並行して、昼食の準備を始めている。目玉は、「K1ハヤシライス」。2020年に、注文を受けてからすぐに提供できるメニューとして開発された。厨房内で、ルーから手作りしている。
一つの鍋で作るルーは30人前。1・5キログラムの牛肉と2キログラムの玉ねぎを、スチームコンベクションオーブン(スチコン)に入れるところから調理はスタートする。
冷蔵庫にフライヤー、一つ一つの設備が家庭用のものとは比べられない大きさの杜ダイだが、中でも台数が多く、強い存在感を放つのがスチコンだ。「焼く」だけではなく、「蒸す」「煮る」「ゆでる」などの調理を一台で行える。1度単位で温度を調節することができるので、冷凍食材の焼き具合も自由自在だ。今回は、牛肉と玉ねぎを「炒める」のが仕事。鍋で炒める工程を省き、作業時間を短縮している。
加熱が終わりスチコンを開けた瞬間、甘い香りが周囲に充満する。取り出した牛肉と玉ねぎを、鍋に投入。あらかじめ温めておいたデミグラスソースを入れて、煮込み始める。
デミグラスソースの量は、30人前のハヤシライスに対して3キログラム。さらに、300グラムのケチャップと300ミリリットルのウスターソースを加えてかき混ぜれば、ルーの完成だ。昨年からほぼ毎日ハヤシライスを作り続けているというスタッフが、「体力勝負です」と笑った。
第1陣のルーが完成したのは9時50分。わずか30分で二つの鍋、60人前ができあがった。
ハヤシライスの注文が入ってくるようになるのは12時を過ぎてから。ルーをよそう横で、ご飯の自動盛り付け機がフル稼働。「カレー皿」ボタンを押せばカレー皿に、「小」ボタンを押せば小ライスの茶碗に、それぞれ器の形に成形されたご飯が盛り付けられる。
鍋いっぱいのルーも、なくなるのは一瞬。今日もK1ハヤシライスは、多くの学生のお腹を満たしている。
【全3回。後編へ続く】